ソウル市のパク・ウォンスン市長が死亡する前日の8日、職員への強制わいせつ行為の疑いで告訴されたことが伝えられ、パク・ウォンスン氏を告訴した被害者を支持し連帯する動きが広がっている。パク市長の死を被害者の責任に転嫁し、さらには「身元暴き」をするという2次加害まで発生し、被害者を保護しなければならないという声が女性界を中心に高まっている。
インターネットコミュニティやSNSなどでは10日、「#パク・ウォンスン市長を告発した被害者と連帯します」というハッシュタグと共に、「告発は正当なことで、そのすべてはあなたの過ちではありません」(@heyzein_)、「慰めと敬意を表し、正義と真実に到達するよう連帯します」(@L_sue)、「世間の不条理に、万が一にでも自責することのないよう願います。最後まで応援します」(@_moodim)など、被害者を支持する書き込みが続いた。正義党のリュ・ホジョン議員は、自身のSNSアカウントを通じて、「尊敬する人の威力に抵抗できず、ハラスメントの対象とならなければならなかったあなたが孤独にならないよう願う。『あなたの過ちではない』と伝えたい」と被害者を慰めた。リュ議員はこのような趣旨で「(パク市長の葬儀に)弔問しないつもりだ」という考えも明らかにした。
告訴した被害者の身元を突き止めたり、被害者に責任を転嫁する「2次加害」の動きに憤る声も少なくなかった。この日、オンラインコミュニティには「2017年に故パク市長と働いていた秘書たちを探し出す」「一晩中ソウル市の議事録まで全部調べた」などの書き込みが掲載され、「だから女性は職員として使ってはならない」という書き込みが無分別に広がった。韓国性暴力相談所のキム・ヘジョン副所長は「性暴力処罰法上、告訴と同時に被害者保護が始まるが、性暴力被害解決のための最小限の装置すら作動していない」と指摘した。
パク市長が「生きて糾明すべきだったこと」を自殺という極端な選択によって免れたために招いた問題だという認識もある。一部のネットユーザーはこの日、小説家チョン・セランの『視線から』に書かれた「ある自殺は加害だった。最終的な形の加害だった」という文を引用し、懸念の声をあげた。わいせつ行為の容疑について糾明したり、被害者に謝罪するなどの責任ある措置を取らず死を選んだことで、被害を告発した人がまるで加害者であるかのように映りかねない状況に注目したのだ。有力な政治家などが、被害当事者が存在するという事実を考慮せず、故人の経歴を称えて過度に庇護することに対する批判も出た。社会批評家のパク・クォニル氏は「被害者が告訴状を出して被害事実を訴えたのに、まるで被害者の苦痛など存在しないかのように語ることも2次加害」と指摘した。
女性団体は、ソウル市がパク市長の葬儀を「ソウル特別市葬」として行うことを問題視する一方、被害者保護のためのソウル市の責任ある措置を求めた。「公訴権なし」で事件が終結し、事件に対する法的争いは難しくとも、職場内で発生したことであるだけに、ソウル市独自の後続措置が必要だということだ。韓国性暴力相談所はこの日声明を出し、「パク市長は真実に向き合い過ちを正す道に数多く参加してきたが、本人はその道を閉ざす選択をした」とし「被害者が語れる時間と、社会がこれを聞く責任をなくしてしまう流れに反対する」と述べた。続いて相談所は「5日間の大々的なソウル特別市葬、葬儀委員の募集、業績を称える場、市民弔問所の設置を引き止め反対する」と付け加えた。「ソウル特別市葬」として葬儀が行われることに反対する大統領府国民請願はこの日、1日も経たないうちに回答基準である20万人以上の同意を得た。韓国女性民友会は「ソウル市が真実を明らかにし、さらなる被害を防ぎ、被害者と共にあらねばならない」と発表し、「韓国女性の電話」は「被害者が望んでいた通り事件の真相が明らかにされ、被害者が安全に日常に戻るまで共に歩む」と論評を出した。
忠清南道のアン・ヒジョン前知事、釜山市のオ・ゴドン前市長に続き、公職者の「地位を利用した性暴力」犯罪が続くなか、これを個人の逸脱としてのみ見なしてはならないという指摘も出ている。「性的権利と再生産正義のためのセンターSHARE」のナ・ヨン代表は「パク・ウォンスン市長が『威力を利用した性暴力』の加害者として告訴されたという事実が『立派な人の残念な汚点』のようなレベルの話にならないことを願う」とし、「彼は生きて自分が犯した矛盾と偽善、暴力の重さに耐えるべきだった。彼の死は公職社会に対する明らかな警告として残らなければならない」と強調した。