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対北朝鮮ビラ禁止法が第1段階…米中との外交で緊張緩和を模索すべき

登録:2020-06-16 05:05 修正:2020-06-16 08:25

南北関係関連3人の元老による情勢分析と解決策 
 
南北関係の最大の危機 
ムン特別補佐官「北朝鮮が実存の脅威を感じ、正面突破図っている」 
チョン副議長「キム第1副部長のリーダーシップに命運かかっている」 
イ元長官「ビラへの対応の甘さが危機招いた」 
 
いかに軋轢を解消すべきか 
ムン特別補佐官「単一議題の南北首脳会談 
米国を説得し、南北外交の空間づくりを」 
チョン副議長「朝鮮戦争70周年に合わせて行動に出る可能性も 
与党が立法に着手、時間を稼ぐべき」 
イ元長官「まずビラ問題の解決を」

(左から)チョン・セヒョン民主平和統一首席副議長、ムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官、イ・ジョンソク元統一部長官が15日、国会議員会館で与党の6・15共同宣言20周年記念行事として開かれたラウンドテーブルで発言している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 「北朝鮮は韓国が4・27板門店宣言をすでに破ったと思っている。北朝鮮へのビラ散布という合意違反状況をできるだけ早く解消し、板門店宣言を維持しなければならない。南北関係が6・15共同宣言以前に後退するかもしれない危機だ」

 ムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官、統一部長官を歴任したチョン・セヒョン民主平和統一首席副議長、イ・ジョンソク世宗研究所首席研究委員の苦言だ。3人の元老は、今の南北関係が本質的な危機的状況にあるとしながらも、「対北朝鮮ビラ散布禁止法」の制定にできるだけ早く着手することが、危機脱出の第一歩だと口をそろえて強調した。6・15南北共同宣言20周年を記念して15日、国会で与党の共に民主党が主催した座談会で示された診断だ。

 3人の元老は、北朝鮮の対南(対韓国)強硬路線が当分続くと見通した。ムン・ジョンイン特別補佐官は「北朝鮮は、韓国が米国とともに時間を引き延ばし、北朝鮮体制の崩壊を狙っていると見て、断固として対処すべきだと判断したようだ」と述べた。さらに、「北朝鮮が実存的な危険を感じ、正面突破を図ろうとしている。レーニン流に言えば、韓国を(米国より)『弱い環』と判断したわけだ」と指摘した。

 チョン・セヒョン副議長は「南北関係の冬が長くなるかもしれない」と懸念を示した。彼は「13日の談話を見ると、キム・ヨジョン労働党中央委員会第1副部長が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長や党・国家から委任された権限で、朝鮮人民軍まで指揮しているようだ」とし、「この(対北朝鮮ビラ)問題をいかに乗り越えるかによって、キム第1副部長がナンバー2の座を固めるか失うかが決まるかもしれない状況であるため、(韓国に対し)攻勢を強めている」と診断した。さらに、「北朝鮮は強力な制裁と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態による深刻な経済的困難に後継者問題まで重なった状況で、キム第1副部長のリーダーシップを確保しようとしており、(韓国を激しく非難する)このような厳しい状況がしばらくは続くだろう」と見通した。

 3人の元老は最近、北朝鮮の対韓国発言を「ワシントン流に解釈せず、ありのままに受け止めてこそ道を模索できる」と強調した。イ・ジョンソク元長官は「北朝鮮が韓国だけに強硬な態度を示しているのではなく、内部的にも強力なキャンペーンを展開しており、ビラ問題に弾みがついて猛進していて極めて危険な状況だ」だとし、「今は政府が他のことよりも、まずビラ問題を解決しなければならない」と述べた。 3人の元老は、韓国政府が北朝鮮の募った不満が対北朝鮮ビラ問題で表面化すると承知しながらも、甘く対処したことで、「今日の一針明日の十針」(処置が遅れるほど負担が重くなること)のような状況を自ら招いたと批判した。

 チョン副議長は「北朝鮮が象徴性の強い朝鮮戦争勃発の日(6月25日)に合わせて開城(ケソン)共同連絡事務所を爆破しようとする可能性もある。政府の対応が遅いため、与党の共に民主党がその前に立法手続きに着手し、時間を稼がなければならない」と述べた。彼は「物事にはタイミングと優先順位がある」と繰り返し強調した。イ元長官は「国民の6割が(対北朝鮮)ビラを禁止し、法も制定すべきだと答えた世論調査の結果が出た。政府は境界地域の住民の生命と安全がビラを散布する数人の脱北民の権利よりも劣っているのかと問いただし、正面突破を試みるべきだ」と助言した。

 3人の元老は、それでも機会と希望が残っていると述べた。イ元長官は「北朝鮮側のナンバー2であるキム第1副部長が(対北朝鮮ビラという)ゴミだけを片付けるために、わざわざ前面に出たわけではない」とし、「政府がぐずぐずしていれば南北関係の扉は完全に閉じてしまうだろうが、ビラ問題に断固として対処すれば、次を模索できるかもしれない」と述べた。

 また、ムン特補は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩委員長はこれまで、互いを直接批判しないなど、首脳間の信頼は維持されている」とし、「消えかかった朝米首脳会談の火種を蘇らせた2018年5月26日の板門店首脳会談のような会合を推進する必要がある」と提案した。ムン特補は、「南北首脳が非公開でも会うためには、環境と条件が整わなければならない」とし、「対米説得と対中外交の強化が必要だ」と指摘した。イ元長官は「米国を説得し、南北関係を改善する外交的空間を作らなければならない」とし、「南北の疎通のチャンネルが遮断されたため、中国と外交をうまく進め、『北朝鮮の軍事挑発は容認しない』という太陽政策の第1原則を(中国が北朝鮮に伝えるよう)強調しなければならない」と述べた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/949476.html韓国語原文入力:2020-06-15 19:36
訳H.J

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