本文に移動

大統領府「朝鮮半島の平和に役立たない『対北朝鮮ビラ』は遺憾…厳正に対応」

登録:2020-06-12 01:39 修正:2020-06-12 07:49
国家安全保障会議を開き「南北合意に合致しない」 
南北の緊張局面を防ぎ、積極的な関係改善の意志明らかに
国家安全保障会議(NSC)事務処長を務める大統領府国家安保室のキム・ユグン第1次長が11日午後、北朝鮮へのビラや物品などの散布に対する政府方針について大統領府でブリーフィングを行なっている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 大統領府は11日、一部の脱北民団体による北朝鮮へのビラや物品の散布に強い遺憾の意を表明し、厳重に対応すると明らかにした。北朝鮮へのビラ散布でもたらされた南北の緊張を防ぎ、積極的に関係改善の意志を示したものと解釈される。

 大統領府は11日、チョン・ウィヨン国家安保室長の主宰により国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、北朝鮮へのビラ散布行為は南北合意に合致しないため、厳正に対応するという方針を決めた。

 国家安全保障会議のキム・ユグン事務処長はブリーフィングで「ビラや物品などの散布は、2018年の板門店宣言だけでなく、1972年の7・4南北共同声明による南北調節委の共同発表文、1992年の南北基本合意書第1章履行付属合意書および2004年の6・4合意書などの南北間合意によって中止することになっている行為」とし、「南北合意および政府の持続的な取り締まりにもかかわらず、一部の民間団体がビラや物品などを散布し続けてきたことに対して、深い遺憾の意を表明する」と述べた。

 大統領府が、北朝鮮へのビラ散布と、これに対する北朝鮮の対応措置について態度を明らかにしたのは初めて。北朝鮮は4日にキム・ヨジョン労働党第1副部長が対韓国談話を発表し、北朝鮮へのビラ散布に対して韓国政府に対応を求めたが、大統領府は公式反応を示していなかった。

 4・27板門店宣言の第2条1項は、「南と北は地上と海上、空中をはじめとするすべての空間で、軍事的緊張と衝突の根源となる、相手に対する一切の敵対行為を全面的に中止することとした。当面、5月1日から軍事境界線一帯で拡声器放送やビラ散布をはじめとするすべての敵対行為を中止するとともに、その手段を撤廃し、今後は非武装地帯を実質的な平和地帯としていくこととした」としている。朴正煕(パク・チョンヒ)政権時代に実現した7・4南北共同声明も、「双方は互いに誹謗中傷をしないこととした南北共同声明の条項に従い、1972年11月11日午前0時をもって、対南・対北放送、相手地域に対するビラ散布を中止することにした」となっている。現政権と過去の保守政権時代に結んだ南北合意をあまねく引用して根拠を明らかにすることで、保守側の反発を最小限に抑えようとしたものとみられる。

 キム事務処長はさらに、北朝鮮へのビラ散布が朝鮮半島の平和を脅かすとし、徹底的に取り締まると述べた。キム事務処長は「このような行為は南北交流協力法、交有水面法、航空安全法などの国内関連法に違反するだけでなく、南北の合意に合致せず、朝鮮半島の平和と繁栄を実現するための我々の努力にも役に立たない」とし、「政府は今後、北朝鮮へのビラや物品などの散布行為を徹底して取り締まり、違反時には法によって厳しく対応する」と述べた。

 政府の積極的な取り締まりの意志をほのめかし、北朝鮮に向けて事実上の再発防止を約束したかたちだ。統一部はこの日の国家安全保障会議に先立ち、北朝鮮へビラをまいた脱北住民団体「自由北韓運動連合」と「クンセム」に対する捜査をソウル警察庁に依頼するとともに、法人設立許可の取り消し手続きに入った。

 大統領府は更に、南北対話と関係進展への意志も示した。キム事務処長は「政府は朝鮮半島の平和を維持し、偶発的な軍事衝突を防止するため、南北間のすべての合意を引き続き順守していく」と述べた。

 大統領府がこのように北朝鮮へのビラ散布の再発防止の意思を強く示したのは、南北関係が緊張局面へと突き進むことを防ぐ一方、これを機に再び南北対話の再開を目指そうという意思が強いためだ。北朝鮮は今月9日に南北間の連絡線をすべて断ち切り、開城(ケソン)南北共同連絡事務所の閉鎖などの追加措置にも言及した。このため文大統領の代表的成果である4・27板門店宣言が厳しい局面を迎えるのではないかとの懸念が提起されていた。

 文大統領は先月、就任3周年の特別演説で、「南と北が人間の安全保障で協力し、一つの生命共同体となり、平和共同体へと向かっていくことを希望する」とし、「これからは朝米対話を眺めてばかりいるのではなく、南北間でできることを見つけてやっていこう」と積極的な南北関係改善の意志を示した。大統領府は、この日の国家安全保障会議の発表を通じて南北合意順守の意志を明らかにすることで、関係改善の意志を示したのだ。

 この日の会議には、既存の国家安全保障会議の出席者のほかにムン・ソンヒョク海洋水産部長官とチン・ヨン行政安全部長官が出席し、北朝鮮へのビラ散布の取り締まりに関する実務対策を話し合ったという。

ソン・ヨンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/948962.html韓国語原文入力:2020-06-11 17:56
訳D.K

関連記事