新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が現在までに60人以上発生しているクーパン(オンライン・ショッピングモールの一つ)の富川(プチョン)物流センターで、感染者発生を最初に知った会社側が、この事実を社員たちに知らせずに業務を強行し、社員数百人が正常出勤していたことがわかった。この日正常出勤した社員の中からは、翌日陽性判定を受けた人も現れた。27日午後8時30分現在、クーパン富川物流センター関連の感染者は計64人(仁川市30人、京畿道18人、ソウル16人)だが、感染者の確認後も数百人が勤務を続けている上に、物流業の特性上、不特定多数との接触が多く、感染者は今後も増えるものと見られる。
27日、複数のクーパン富川物流センターの社員の話を総合すると、クーパンは24日午前、防疫当局から富川物流センターに感染者が発生したとの通知を受けた。しかしこの日、富川物流センターの午後班の社員は会社から何の通知も受けず、業務が始まる午後5時までに正常出勤した。会社側は彼らが出勤した後、数百人にのぼる全社員を物流センターの廊下に集め、「感染者が発生した」と遅い告知をした。
契約社員のAさん(53)は「感染患者が発生したというのに、数百人を肩がぶつかるほどくっついて立っていなければならない狭い場所に集めて告知を聞いた。『感染者がどこで働いていたのか少なくとも社員は知るべきではないか』と尋ねると、『分からない』という返答だった」と話した。別の契約社員のBさん(49)も「午前班で感染者が発生したら、少なくとも午後班が出勤する前にあらかじめ警告内容の書かれた告知をするか、出勤させないようにすべきではなかったか」とし、「午前班と午後班、深夜班が働くときに重なる時間が1時間ずつある。感染者と重なる動線を明確に把握しなければならないのに、感染者が働いていた場所や動線が公開されていないため知る術がない」と話した。3交代で働く物流センターの午前班は午前8時~午後5時、午後班は午後5時~午前2時、深夜班は午後11時~午前7時まで勤務するが、延長勤務が多く業務時間が重なる。
クーパン側は「特に問題はなかった」という反応だ。クーパン関係者はハンギョレの電話取材に対し「24日午前、初めて感染者の発生を確認し、その後、午前班を早めに帰宅させて物流センターを閉鎖し、防疫を実施した。3~4時間ほどで菌が消滅するという防疫指針があると聞いている」とし、「防疫を実施したので安全が確保されたと判断し、午後班が出勤して働いた」と話した。
しかし、疾病管理本部の防疫指針はクーパン側の説明とは異なった。疾病管理本部の関係者は「管理本部の勧告通りに消毒したなら、24時間以降十分な換気をした後に開場するよう勧告している」と述べた。
クーパンはこの日、午後班の社員のうち、最初の感染者が働いていた梱包部門の勤務者の一部だけを自宅隔離者として選定し、残りは正常勤務をさせた。このため、多くの午後班の社員は正常勤務時間の翌日午前2時まで勤務した。27日、京畿道富川市役所が公開した感染患者の移動経路によると、24日の午後班の出勤者のうちの1人から出勤後に筋肉痛や鼻づまりなどの症状が現れ、25日の検査の結果、陽性判定を受けたことが確認された。
結局、クーパンのこのようなずさんな初期対応が、数千人が勤務する富川物流センターを中心とした集団感染を生んだのではないかという指摘が出ている。富川市の梧亭洞(オジョンドン)にあるクーパン物流センターは延べ面積30万5052平方メートル、地上5階建てのビルで、3月から運営されている。同センターは首都圏西部地域に配送される生鮮食品を処理する所だ。作業は6階の屋上荷役場から下階へベルトコンベアーで物品を運搬し、配送地ごとの選別・梱包などを経て最後に配送トラックに積む仕組みとなっている。
空間の構造上、社員同士の接触は多くないが、休憩や食事の時間帯にマスクを着用しなかったり、動線が重なるということが明らかになった。2階の梱包工程で働く40代の男性社員は「仕事をしていると汗まみれになり、マスクが剥がれたりやぶれたりすることも日常茶飯事だ。通常は個人マスクを使用するが、作業中にマスクに問題があった時は会社が支給する」とし、「食事も数百人が同じ場所で取るが、特に距離を置くことはなかった」と話した。Aさんも「製品を選ぶ係の人が、梱包の方が忙しいと手伝いにきてくれたりもする。短期アルバイトはあちこちをとても広範囲に行き来する」とし、「物流センターはどこをどう行き来したのか追跡することなどできない構造」だと話した。
防疫当局とクーパン側は26日、社員や協力会社の社員らに対して遅まきながら全数調査を通知した。27日、富川総合運動場付設駐車場に設置された選別診療所で会ったある20代の男性は「23日に物流センターの1階でアルバイトをしたが、センターで最初の感染者が出た前後2週間までここで働いたすべての人が検体検査を受けるように通知を受け、選別診療所に来た」とし、「これといった症状はないが、万が一を考えると結果が出るまで不安だ」と話した。
京畿道もこの日午後4時、緊急防疫点検会議を開き、クーパン配送要員約2500人に対する全数調査を実施し、管内の3万平方メートル以上の規模の物流倉庫を対象に施設物の防疫と発熱チェック、マスク着用などをまず点検することにした。現在までに該当する物流センターの社員や訪問客4156人に対して全数検査を実施し、63.3%に当たる2633人の検査を終えている。