本文に移動

極右勢力、ユン・ミヒャン疑惑を悪用し、“歴史修正”狙う

登録:2020-05-21 06:42 修正:2020-05-22 06:57
『反日種族主義』著者らの関連団体 
慰安婦・強制動員被害を否定し 
「少女像の撤去・水曜集会中断」求めるデモを展開 
黒石洞の少女像を石で毀損する事件も 
日本の極右新聞も加勢し、「撤去」を主張
イ・ナヨン正義記憶連帯理事長が今月20日午後、ソウル鍾路区旧日本大使館敷地の前で開かれた第1440回日本軍性奴隷制問題の解決に向けた定期水曜集会で発言している=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさん(92)の記者会見に触発されたユン・ミヒャン共に市民党比例代表当選者(前正義記憶連帯理事長)をめぐる疑惑が、反対陣営の「バックラッシュ」(進歩的変化に対する反動・反発)を越えて、極右勢力の組織的な“歴史修正”の動きに広がっている。韓国社会の内部対立に日本側まで加勢し、戦線が複雑になっている。

 ユン当選者をめぐる疑惑の一軸である正義記憶連帯(正義連)の会計処理と寄付金事業などに対する疑惑提起は、保守マスコミと未来統合党が主導している。もう一つの軸である“歴史認識”に関しては、国内の極右団体と日本の右翼勢力が手を携える格好だ。

 歴史修正の先頭には「反日銅像真実究明共対委」がいる。共対委は第1439回水曜集会の前日である12日、ソウル鍾路区(チョンノグ)の日本大使館前平和路で集会を開き、「慰安婦像の撤去、水曜集会中止」を主張した。彼らは、日本軍「慰安婦」被害者問題解決に30年間献身してきた挺身隊問題対策協議会(現正義記憶連帯)と同団体の代表を務めたユン・ミヒャン当選者を「児童虐待と青少年保護法違反」で告発した。挺隊協が主導してきた水曜集会が「青少年たちに性奴隷の概念を注入し、精神的に虐待した」というのが彼らが掲げた告発事由だ。

 共対委は「恥ずかしい慰安婦の履歴を人前でばらし、侮辱した挺対協と女性家族部は許しがたい人権侵害集団」だと主張した。彼らは第1440回水曜集会前日の19日にも同じ場所で「慰安婦像反対集会」を兼ねたいわゆる「慰安婦真実究明記者会見」を開いた。彼らは韓国社会で「少女像」と呼ばれる「平和の碑」を、日本式の「慰安婦像」と呼んでいる。両集会の司会を務めたチョン・グァンジェ共対委事務総長は、李承晩(イ・スンマン)学堂の理事だ。李承晩学堂は『反日種族主義』と『反日種族主義との闘い』の出版を主導したイ・ヨンフン前ソウル大学教授が校長を務めている。2冊の本に筆者として参加した落星垈経済研究所のイ・ウヨン研究委員は、2019年12月2日に開かれた共対委創立会見で、団体沿革を発表した。李承晩学堂-落星垈経済研究所-反日銅像真相究明共対委が人的につながっているわけだ。

 イ・ヨンフン氏やイ・ウヨン氏などがいわゆる“学問”の領域において、日本軍慰安婦・日帝強制動員被害者運動を攻撃する一方、チョン・グァンジェ氏などはいわゆる“市民運動”の領域で少女像と「強制動員労働者像」(龍山駅前)を「反日銅像」として攻撃し、撤去を求めている。イ・ヨンフン氏は著書で「戦時性奴隷制」であり、「反人道国家犯罪」である日本軍「慰安婦」被害者問題を、「日本軍慰安所は後方の公娼制に比べ、高労働、高収益、高危険(ハイリスク・ハイリターン)の市場」だと主張し、被害者団体の怒りを買った。

 第1440回水曜集会が開かれた20日朝には、彼らの“言葉によるヘイト運動”が物理的暴力に飛び火した。20代の男性A氏がソウル銅雀区黒石洞(フクソクドン)にある「平和の少女像」の顔を石で叩き、毀損して容疑で警察に逮捕された。

 日本のメディアもこのような流れに加勢している。日本の産経新聞は同日、韓国新聞の社説に当たる2面の「主張」で「反日集会をやめて(少女)像の撤去を」という見出しの記事で「反日憎悪の象徴である慰安婦像を早急に撤去してほしい」と主張した。朴槿恵(パク・クネ)政府と安倍晋三政府の2015年12月28日の合意以降、日本側の「少女像撤去」主張を再び切り出したのだ。

 日本軍慰安婦被害者運動の歴史に詳しいある元老は「保守野党や保守メディア、極右団体、日本側が少女像の撤去や水曜集会の中止、正義記憶連帯の無力化などを目標に連帯攻撃している」と指摘した。慰安婦問題の解決に向けて連帯してきた青少年組織「平和ナビネットワーク」のイ・テヒ全国代表は同日の水曜集会で「この集会を歪曲し、その意義を否定しようとする勢力がいるが、屈することなく、しっかり守り抜く」と話した。

イ・ジェフン、パク・ユンギョン記者、東京/チョ・ギウォン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/945836.html韓国語原文入力:2020-05-21 05:00
訳H.J

関連記事