検察が20日に行った正義記憶連帯(正義連)への強制捜査は、スピードや時期、方法からして予想外のものだった。水曜日のこの日は定期水曜集会が開かれる日だった。正義連の後援金の使途をめぐる疑惑が、ユン・ミヒャン共に市民党比例代表当選者の個人不正疑惑に広がり、検察の強制捜査が予想されていたものの、水曜日だけは避けるものと見られていた。しかし、検察は同日、通常午前中に捜査令状を執行する慣行を破り、集会が終わった後、午後5時に強制捜査に入った。それだけ検察が今回の事案を重く見ていることを意味する。
検察は当初、これまでマスコミが持ち上げてきたユン当選者の個人不正疑惑に集中するものと予想されていた。正義連側が会計関連疑惑を解消するため、外部監査を受けることにしたため、会計不正疑惑は監査結果を見守った後、捜査に着手するかどうかを決めるものと見られていた。しかし、検察はこの日、正義連の事務所を直接狙うことで、事業費の執行の透明性と会計処理の適切性など、過去の正義連の運営過程全般の問題を綿密に検討する方針を示唆した。検察の捜査がユン当選者の個人的な不正を越え、正義連のレベルに拡大する可能性がある。
同日の強制捜査の令状には、ユン当選者だけが被告発人として記載されていたという。ユン当選者の横領および背任の疑いが一次的な調査対象だ。ユン当選者は京畿道安城市(アンソンシ)のヒーリングセンターの購入と関連した業務上背任及び横領の疑惑で告発されている。しかし、捜査結果によっては、ユン当選者だけでなく当時のセンター売買に関わった人物も捜査対象に含まれる可能性がある。ユン当選者は当時、「安城新聞」代表だったイ・ギュミン共に民主党当選者の紹介で、2013年9月に建築業者のK氏に会い、彼の妻のH氏の名義だったヒーリングセンターの売買契約を結んだ。
ユン当選者が後援金を個人の口座に募金したのも主な捜査対象だ。ユン当選者は昨年1月、キム・ボクトンさんの葬式費用をはじめ、さまざまな後援行事のための基金を集める際、個人口座を利用した。個人口座を使うと、個人の金と後援金が混在し、横領疑惑が持ち上がりかねない。後援金の募集に使われた口座を逆に追跡すれば、お金がどこに使われたのか確認できる。検察は、ユン当選者の金融口座の追跡などを通じて、米国留学中の娘の学費とユン当選者が2012年に競売で落札した水原(スウォン)のマンションなど資金源との関連性も確認する方針だ。
検察は、正義連が受け取った国庫補助金がきちんと使われたかどうかも捜査対象としている。2016年から昨年まで、約13億ウォン(約1億1400万円)の国庫補助金が支給されたが、正義連は国税庁に約5億ウォン(約4400万円)だけを公示し、疑惑を膨らませている。検察は、国庫補助金約13億ウォンの支出内容をすべて確認し、事業目的に合わせて使われたかどうかを調べる方針だ。
検察が強制捜査に着手したのは、正義連関連疑惑が政治的攻防に拡散することを防げる側面もある。野党が求める国政調査は、実体的な真実を究明するには明白な限界があるためだ。正義連の疑惑が解消されず、消耗的な政治的攻防が続く場合、「慰安婦」被害者の人権運動全体に打撃を与える可能性もある。しかし、市民社会団体は検察の“粗探し”捜査を憂慮している。検察がずさんな会計を理由にいつでも捜査のメスを入れられるため、団体の活動が萎縮する恐れがあると見ている。