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[社説]ナヌムの家、骨身を削る自浄の意志で設立の精神を回復せよ

登録:2020-05-21 03:56 修正:2020-05-21 08:49
京畿広州市退村面元堂里のナヌムの家の全景。中央に見える建物が2階建に増築された日本軍「慰安婦」被害者の生活館だ=広州/イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 日本軍「慰安婦」被害者のハルモニ(おばあさん)たちが生活する京畿道広州(クァンジュ)の「ナヌムの家」の不透明な後援金管理とハルモニたちに対する不当な処遇が水面上に現れた。後援金は去年までに64億ウォン(約5億5000万円)以上集まったが、ハルモニたちは治療さえ十分に受けることができず、理事会はその金で「ホテル式療養院」設立計画を推進したという。怒りを越して絶望すら感じる。

 ハンギョレの報道で明らかになった理事会の録音記録によると、社会福祉法人「大韓仏教曹渓宗ナヌムの家」理事会は2018年から後援金で一般療養院の設立を論議した。この計画を裏付けるように、今年2月にナヌムの家は法人事業の種類を「無料養老施設・無料専門療養施設」から、代金を受け取ることが可能な「高齢者養老施設・高齢者療養施設」に変更する内容を含めた定款の改正案を広州市に提出した。また、土地購入と生活館増築などをしながら後援者の同意なしに後援金を流用し、職員に一般人の高齢者女性たちの入所者募集まで指示したという。

 ナヌムの家の後援金は2015年「12・28韓日慰安婦合意」以後、毎年20億ウォン(約1億8000万円)近く集まった。それでもハルモニたちは着替えの服一着さえ適時に気楽に買うことができず、けがをした際に治療も十分に受けられなかったと職員たちが証言した。それだけでなく、生活館の増築工事の過程でハルモニの遺品や物品が毀損されることまで発生した。一つひとつが歴史的遺産になるハルモニの物品が放置されて毀損されるとは、ナヌムの家の存在意味とは何なのかを尋ねざるを得ない。

 大韓仏教曹渓宗はこのような疑惑について「ナヌムの家は大韓仏教曹渓宗が直接管理監督する機関ではない」とし、「宗団が直接関与した事実はない」と釈明した。管理監督権がなかったとしても、法人定款により全理事の3分の2が曹渓宗の僧侶で埋められているにも関わらず法的責任がないという事実ばかり強調する態度には失望させられる。1992年にナヌムの家が誕生したとき寄与した僧侶たちの献身まで否定するかたちだ。20年以上ナヌムの家の運営に関与してきたウォンヘン僧侶が現在の総務院長(曹渓宗の実務行政の代表)を担っているという点を考慮すれば、曹渓宗は責任ある姿を示さなければならない。何より、施設の運営陣と理事らは提起された疑惑について徹底的に責任を糾明し、改善策を講じなければならない。また、後援金を施設運営のための口座ではない法人口座で扱う奇怪な構造に対して十分な管理監督ができなかった自治体も、問題解決に積極的に取り組まなければならない。

 ナムヌの家は正義記憶連帯とともに「慰安婦人権運動」を象徴する所だ。多くの人々がハルモニの苦しい過去を少しでも補償して大変な老後の面倒を見ようと、喜んで後援金を出した。明らかになる疑惑は後援者と市民の心に大きな失望を抱かせた。骨身を削る自浄の意志でナヌムの家の設立精神を再生させなければならない。それが亡くなったハルモニたちと残った6人の方々のための最小限の礼儀であり、傷ついた慰安婦人権運動が信頼を回復して再び立ち上がることができる道だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/945785.html韓国語原文入力:2020-05-21 02:07
訳M.S

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