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総選挙で40%は保守野党支持…協治は選択ではなく必須

登録:2020-05-08 06:42 修正:2020-05-08 16:19
政権4年を迎える文在寅政府 
“180議席”の権限・責任は両刃の剣 
「謙虚さ失ってはならない」 
党と大統領府、野党を積極的に説得すべき 
内部的には強硬論が多数…調節が必要
文在寅大統領=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 思い通りに進められるが、責任は全部負わなければならない状況。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が直面した政権4年目の政治環境である。政権与党は総選挙で180議席を獲得して圧勝した。与野党の対立で主な公約が何度も挫折したこの3年間とは全く異なる政治地形が展開されたわけだ。しかし同時に、それだけの権限に比例する責任という重荷を背負わされたのも、厳然たる事実だ。総選挙の結果が出た後、大統領府の雰囲気がむしろ厳粛だったのも、これと無関係ではない。

 専門家たちは、「文大統領が歴代のどの大統領よりも友好的な環境で政権下半期を迎えることになった」としながらも、絶妙なバランスをとることができなければただちに主導権を失う恐れもあると見通した。

文大統領の国政支持度と主な事件//ハンギョレ新聞社

 与野党の関係においては、大統領府と与党がまず最大限説得に乗り出す政治力を示すことが求められるというのが共通のアドバイスだ。パク・ミョンホ東国大学教授(政治外交学)は「現実的に(野党と)協治すべき理由を探すのが困難なのにもかかわらず協治しなければならないというのが、大統領府と与党が直面したジレンマであり、悩みだろう」と述べた。彼は「協治は両勢力の力が拮抗しており、一人では何かを成し遂げられない時に進めるものだが、今の大統領府と与党は、協治の対象や必要性が明確でない状態だ。国民は総選挙で大統領府と与党に圧倒的な力を与えながらも、(反対勢力を)包容しろという二重の課題を大統領府と与党に投げかけた」とし、「国民は金持ちが金持ちらしく傲慢に振舞うことを嫌うため、大統領府と与党がいつにも増して高度な政治力を発揮し、協治の枠組みを作らなければならない」と指摘した。政治評論家のユ・チャンソン氏は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済危機を克服するためには、野党と協力しなければならない」とし、「今回の総選挙の結果でも40%を超える国民が保守野党を支持したという事実を忘れず、積極的に手を差し伸べるべきだ」と述べた。

 議席数に頼ったスピードの出しすぎは警戒すべきだという指摘も多かった。キム・ヒョンジュン明知大学教授(政治学)は「過去に与党議席数が過半数を超えた盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領時代や李明博(イ・ミョンバク)元大統領時代の失敗を教訓にしなければならない」とし、「過半数以上の議席を持ったら、目標とした立法課題を推し進められると思いがちだ。しかし、国政の安定は議席数によって決まるわけではない」と指摘した。イ・ジュンハン仁川大学教授(政治外交学)も「大統領府と与党が『国民は我々の味方だから、票決で、スピード戦で終わらせよう』という態度に出ればたちまち、国民が自分たちの味方ではないことを痛感させられるだろう。スピードを出しすぎれば脱線する」と述べた。

 大統領府と政府がCOVID-19の防疫で成果をあげたことが、与党を総選挙圧勝に導いただけに、しばらく党-大統領府の関係は大統領府優位で維持されるものと見られる。ただし、COVID-19危機を克服する過程で、党と大統領府が対立する可能性があるという指摘もある。パク・ミョンホ教授は「COVID-19経済危機を克服するための政策が既存の公約に反する矛盾した状況も起こり得る。優先課題の選択と強弱の調節が必要だ。内部の強硬論を上手くなだめるのが重要だ。党が大統領府と汝矣島(ヨイド、国会のある所)の出張所になってはならない」と指摘した。

ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/944102.html韓国語原文入力:2020-05-08 05:00
訳H.J

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