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[社説]「文在寅政権」後押しした民意が野党を審判した

登録:2020-04-16 06:44 修正:2020-04-16 07:24
民主「過半数」を超える圧勝…国政運営に弾み 
COVID-19対応「好評」…経済難克服が課題 
変化ない統合党には厳しい国民の警告
共に民主党のイ・へチャン代表(右側3番目)が15日午後、国会議員会館に用意された党選挙状況室で第21代国会議員選挙の総合状況版に当選ステッカーを貼り付けている//ハンギョレ新聞社

 民意は厳しかった。15日に行われた第21代国会議員総選挙で、共に民主党が比例政党である共に市民党の議席を含めて国会の過半数(151議席)をはるかに越える議席を確保することが確実視されている。未来統合党は比例政党の議席を加えても、第20代総選挙当時の議席(122議席)に及ばない水準の議席を得るものと見られる。民主党の国会過半数議席の獲得は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代の2004年以後16年ぶりのことだが、今回はその時の議席数(152議席)を20議席以上超えた。これは国民が文在寅(ムン・ジェイン)政権の国政運営の方向性を肯定評価しており、後半期にも国政運営を後押しするという意味だと解釈される。一方、事あるごとに政府の政策を批判した野党第一党の未来統合党には厳しい審判を下したものと見ることができる。ファン・ギョアン代表体制が「革新と代案の提示」を要求する国民の意思を十分に読むことができず、旧態を踏襲した結果としか他に解釈する術はない。

 まず、政権与党の共に民主党が今回の選挙で国会単独過半数を越える議席を確保したのは意味が大きい。国民は、民生分野だけでなく各分野の改革立法が野党の妨害と与野党の争いのために十分に推進されなかったことを厳しく叱咤したと評価される。したがって、民主党は第21代国会ではもっと力強く改革立法を推進することで、今回の選挙に込められた民意に奉じなければならない。特に検察改革を加速化するというのが国民の意思との点を念頭に留めておいてほしい。未来統合党は選挙期間の終始、チョ・グク前法務部長官の問題を中心議題として提起し、「民主党が勝利すればチョ・グクが蘇るだろう」という論理で票を求めた。選挙結果を見ると、国民はチョ・グク問題をひたすら政治攻勢にのみ活用しようとする野党の主張に同意しなかったと言うことができる。ただし、これをチョ・グク事件が残した「公正と正義」の価値を軽く考える方向に解釈してはならないはずだ。この懸案を全面に掲げた汎与党圏の開かれた民主党が予想より少ない政党獲得票を記録したのは、そのような傍証ではないかと思われる。

 現政権が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応をうまくやったという国民の評価が民主党の選挙の勝利に寄与したのは否定できない。民主主義と国民の基本権を最大限保護しよう努め、韓国社会の力量を総動員してCOVID-19拡散を阻止したのは、世界で模範事例として評価された。このような国際社会の評価を国民も認めたことが選挙の結果として現れたのだ。これに関して未来統合党が主張するように「文在寅政権の過去3年間の実情がCOVID-19で覆われた」とおとしめることはできない。政府の最も重要な任務は国民の生命と安全を守る事だ。国民は政府の基本義務に忠実な文在寅政権を評価し、これを非難するのに没頭した野党をむしろ審判したと見ることができる。

 民主党は総選挙で予想を超える大勝利をおさめたが、決して自惚れてはならない。議席数が大きく増えはしたが、そのうちの相当数は伝統的支持基盤である湖南で第三党に奪われた議席を取り戻したことを肝に銘じなければならない。むしろ、釜山(プサン)・慶尚南道では4年前より議席数が減ったことを痛く受け入れなければならない。今までCOVID-19対応では良い成績表を得たが、そこに安住してはならない。何より本格化し始めた経済危機を乗り越えることに総力を尽くさなければならない。

 野党第一党の未来統合党は骨身を削る自省と完全に新たに生まれかわるという覚悟で換骨奪胎しなければならない。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾以後、様々な形で分散した保守政治勢力が総選挙を控えて一つに団結したが、選挙結果は期待した水準には遠く及ばなかったのが現実だ。体格だけを増やしても「変化と革新」を行わなかったからだ。弾劾以後、「新しい保守に生まれ変わる」と幾度も国民に約束したが、実際の行動に繋がらなかったことを国民は厳正に評価した。チャ・ミョンジン候補の「セウォル号妄言」や政府のCOVID-19対応を非難するのに汲々としていたファン・ギョアン代表の発言が代表例だ。ファン代表を始めとして大統領候補級の関係者が全て落選したのは、今の人物と価値ではよくないので根元からばっさり変えよとの国民の峻厳な警告だ。 真に「新しい保守」として生まれ変わらなければ保守野党の未来はないことを、今からでも明確に悟ってほしい。

 今回の総選挙は全世界的なCOVID-19大流行の中で行われた。輝かしい市民意識があったから可能なことだった。防疫と投票はどちらか一つを放棄することはできない価値だ。しかし、防疫には社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)が要求される一方、投票は感染拡散の経路になり得る。米国やイギリス、フランスなどの世界の主要な国々がCOVID-19事態のために列をなして選挙や投票日を先送りしたのもこのためだ。

 今回の総選挙の投票率は66.2%で28年ぶりに最高値を記録した。多くの防疫手続きと物理的距離確保など手間をいとわずに参政権の行使に出た市民意識があったからこそ可能なことだったと見られる。積極的な主権意識と成熟した市民意識で私たちは世界にもう一つの模範事例を作り出したわけだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/937276.html韓国語原文入力:2020-04-16 02:41
訳M.S

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