来月6日から「生活の中の距離措置」(生活防疫体系)が実施される見通しだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散がある程度統制可能な範囲に収まっているとみられることから、これ以上日常生活を強く規制して経済状況が厳しくなるのを見過ごすことはできないと政府が判断した結果と見られる。
チョン・セギュン首相は29日午後にソウル瑞草区(ソチョグ)の健康保険審査評価院ソウル事務所で開かれた第3回生活防疫委員会を訪れ、「5月6日からの生活の中の距離措置への移行には多くの心配と期待があるが、このかん国民が示してきた防疫意識を見ると、次の段階に進んでもいいのではないかと思う」と述べた。5月5日までと予告されていた社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)を終了し、翌日から防疫と日常の持続可能な共存を目指す生活防疫体系へと移行する意向を示したものだ。まだ完成していない生活防疫心得については「新たな試みなので完璧とはいかないだろうが、国民が示してきた参加と連帯の力によって補完し続ける」と述べた。
チョン首相が生活防疫体系への転換を事実上予告したことを受け、政府は早ければ来月3日にも防疫体系の転換を公式発表する見通しだ。保健福祉部は先に発表した個人と集団ごとの生活防疫基本心得と、施設ごとの31の細部指針などの草案を施設ごと・段階ごとにさらに具体化して補完し、同日発表する予定だ。
政府がソーシャル・ディスタンシングをこれ以上延長せず、「平凡な日常の中に『防疫』を刻み込んだ」(チョン首相)生活防疫体系へと転換することにしたのは、何よりも雇用危機が顕在化するなどの経済状況の急速な悪化を考慮したためだ。生活防疫への転換を占う試金石とされた「総選挙後2週間」が過ぎた29日もCOVID-19の拡散状況が比較的安定した状況を保っていること、長期間続いてきたソーシャル・ディスタンシングに国民が疲れていることなども、こうした決定の背景として挙げられる。
しかし、初めての道を完全な準備のないまま進まなければならないことから、懸念は大きい。この日の生活防疫委会議でも複数の専門家が、必要不可欠な社会的合意、法制度の見直し、選別診療所や病床体系の改善策などの準備が不十分だという懸念をチョン首相に伝えたという。同会議に出席したある生活防疫委員は「感染症の専門家、市民団体の代表、経済分野の専門家も、意見はそれほど違わなかった。準備は十分にできているのかという点を指摘し続けた」と述べた。また別の出席者は、「状況がどれほど悪化すれば再びソーシャル・ディスタンシングに戻るのか、生活の中の距離措置の実施の程度はどのような周期で誰が評価するのかも、何も決まっていない」と述べた。
一方、政府は30日から最長6日間のゴールデンウィークを控え、マスクの着用や食事時の各人の取り分けなどの基本心得と、主要観光地を対象とした防疫強化を内容とする「安全観光方策」を公開した。済州空港は発熱者の基準を従来の37.5度から37.3度へと引き下げ、空港内の選別診療所で国外からの入国者のみならず、発熱の見られる人に対してもCOVID-19検査を行う。済州島の屋内観光施設を訪問する際、マスクを着用しない場合は観覧が制限される。
29日、国内のCOVID-19確定感染者は前日より9人増え、累計患者数は1万761人となった。