在韓米軍で働く韓国人労働者約4000人が、韓米防衛費分担金交渉が妥結できず1日から強制無給休職に追い込まれることになった。在韓米軍駐留の70年余りの歴史上初の事態だ。米国が防衛費分担金の大幅引上げ目標を貫徹しようと、韓国人労働者の賃金を人質に無給休職を強行し、韓米同盟の精神を毀損したとの指摘も出ている。ただし、韓米間の交渉が大詰めに入るなど、交渉妥結に対する期待も高い状況だ。特に24日の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とドナルド・トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)協力協議などの電話会談の後、交渉に進展があったことが分かった。初めて起きた無給休職の事態は長期化しないだろうという期待が混ざった見通し出てくる背景だ。
交渉首席代表のチョン・ウンボ韓米防衛費分担金交渉大使は31日午後、政府電子会見(e-ブリーフィング)のウェブサイトに載せた映像メッセージで「在韓米軍司令部が韓国人労働者の一部に対して無給休職を予定通り1日から施行することを知らせてきた」と明らかにした。チョン大使は「(米国の措置は)両国の交渉状況を適切に反映することができず遺憾だ」とし、「無給休職対象の韓国人労働者が速やかに職場に復帰できるよう措置することを求める」と話した。
チョン大使は「政府も交渉過程で無給休職の施行防止のために様々な努力を払ってきた」とし、「現在、私たちの国防予算に編成されている防衛費分担金の人件費予算をまず執行する案も米国側に提案している状況」と明らかにした。併せて政府は「韓国政府が先に在韓米軍労働者に全賃金を支給する」と人件費解決了解覚書(MOU)締結を2月に提案したことがある。
しかし、米国側はそのような案を全て拒否した。人件費問題を先に解消すれば韓国を圧迫するカードが消えるのではないかと米国が懸念したからだという指摘が多い。
チョン大使は、韓米防衛費交渉が大詰めを迎えているという点も何回も強調した。彼は「今月中旬に米国で開催された第7回会議以後、緊密な協議を継続し、交渉妥結のための詰めの調整段階に来ている」と説明した。続いて「韓米両国は最終段階に来ている防衛費分担交渉が相互互恵的にまとめられるよう最善の努力を尽くしている」とし、「かなりの意見の接近が行われているという点で、近いうちに最終妥結されると期待している」と語った。韓米両国政府は今年1月から適用されなければならない第11次防衛費分担特別協定(SMA)締結のための交渉を去年9月から行っているが、総額などで意見の違いを示し、今まで合意に至ることができなかった。
チョン大使は「政府はいかなる場合にも在韓米軍韓国人労働者の被害が最小化されるよう、必要な支援対策の準備と共に早期の交渉妥結のために努力する」と明らかにした。
在韓米軍韓国人労働組合は声明を出し、「同盟国の国民の生計を無視して米国国民のためのCOVID-19支援を要請した米国の行動から、韓米同盟の精神は全く見出すことはできない」とし、「米国は直ちに無給休職を撤回せよ」と求めた。労働組合は韓国政府にも「実質的な支援対策を講じてくれることを固く信じる」と明らかにした。労働組合は1日昼、平沢(ピョンテク)米軍基地の安停里(アンジョンニ)で記者会見を開く計画だ。