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在韓米軍ついに…労働者4千人を「無給休職の崖」に立たせた

登録:2020-03-28 09:30 修正:2020-03-30 08:09
米、防衛費交渉で人質に取る 
「来月1日から休職」個別通知書 
労働者ら、休業手当もなく見通しは暗い 
大統領府・外交部「対策準備を講じる」
チェ・ウンシク全国在韓米軍韓国人労働組合委員長が25日午前、大統領府の噴水台の前で防衛費制度改善を要求して剃髪した後に涙を流している//ハンギョレ新聞社

 在韓米軍で勤務する韓国人労働者4000人余りが韓米防衛費分担金交渉の「人質」となり、4月1日から強制無給休職に追い込まれる瀬戸際の危機に瀕している。

 25日から、在韓米軍で働く韓国人労働者8500人中4000人余りが「4月1日から終了が通知されるまで無給休職に処される」との個別通知書を受けた。無給休職が現実化すれば在韓米軍駐留の60年余りの歴史上初めての事態だ。これは米国のトランプ政権が、今年韓国が負担する防衛費分担金を去年の1兆389億ウォン(約920億円)の5倍を超える50億ドル(約6兆ウォン、約5600億円)に引き上げるとの無理な要求をした時から予告された災難でもある。分担金交渉は去年妥結されるべきだったが、韓米の意見の隔たりは相変わらず大きく、合意に至れずにいる。17~19日の交渉では、無給休職の事態を防ぐために韓国政府が在韓米軍の韓国人労働者の賃金をまず負担するので人件費の部分から先に妥結しようと提案したが、米国が公式に拒否した。人件費から妥結する場合、韓国を圧迫するカードが消えることを米国が懸念したからであるという分析が出ている。米国が韓国人労働者を「人質」にして防衛費の大幅引上げを受け入れるよう韓国を圧迫する状況だ。

 外交部は今月末まで電話と電子メール、大使館を通じて米国と交渉を続け、無給休職までは行かないよう最善を尽くすとの立場を明らかにしている。しかし、通知された日付が4日後に迫り、期限のない強制無給休職の恐怖が4000人余りの労働者を押さえ付けている。

共に民主党のイ・ナギョンCOVID-19国難克服委員長が27日午前、ソウル永登浦区汝矣島の民主党事務所の前でデモ中の全国在韓米軍韓国人労働組合員と会って対話している//ハンギョレ新聞社

 在韓米軍韓国人労働組合のソン・ジオ事務局長は「私たちには新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散より無給休職の方がはるかに恐ろしい」とし、「休業手当でも受給できればこのように途方に暮れることもないだろう」と話した。在韓米軍の韓国人労働者は、休業手当を始めとする韓国労働法の保護を十分に受けることはできない。彼らの賃金の88%は韓国政府の防衛費分担金から出るが、在韓米軍地位協定(SOFA)労務条項により、彼らの雇用主は韓国政府ではなく在韓米軍だ。労働者は四大保険(国民年金・雇用保険・健康保険・労災保険)もきちんと納めるが、「アメリカ合衆国の軍事的な必要に背馳しない限度内で」韓国労働法の規定に従うというSOFAの規定を在韓米軍が恣意的に解釈しうるため、韓国労働法の保護を受けることができない。労働組合はスト権も制限され、不当解雇と不当懲戒も頻繁に起きていると訴える。

 在韓米軍韓国人労働組合はこれまでの間、米国大使館前でデモを行い「韓国人労働者たちを人質にとる無理な防衛費引上げ要求を中断せよ」を要求してきた。同時に、韓国政府も直ちに生計が絶望的になる危機に瀕した4000人余りの労働者に対する対策を用意せねばならないと訴えている。大統領府は26日、国家安全保障会議(NSC)を開き、労働者のための対策準備を講じることになった。しかし政府は雇用主である在韓米軍の代わりに賃金や休業手当を支給するのは難しいと判断していることが分かった。

 労働者たちは、在韓米軍が生命・安全・保健・任務遂行の必要人員を基準に無給休職者を選定したとしているが、同じ事務室で同じ仕事をしている同僚の間でも無給休職者と勤務者に分けられるなど、理解できない選定基準に違和感も大きいと話す。韓国人労働者は在韓米軍の基地内事務、戦闘支援、医療、保健、広報、通訳、電気、ガス、水道など広範囲な分野で働いている。

 在韓米軍労働組合は今回の事態を契機に、政府が米国との交渉を通じて制度的改善案も設けることを要求している。労働組合のソン・ジオ事務局長は「政府が韓国人労働者に対する実質的な対策を講じてくれると信じる」とし、「さらに韓国人労働者が防衛費分担金交渉の人質になる事態が再発することなく、在韓米軍が国内法を守るよう不合理なSOFA条項を改善することを要請する」と話した。

パク・ミンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/934563.html韓国語原文入力:2020-03-28 02:00
訳M.S

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