中国政府は26日夜、ビザ・在留資格を持つ外国人に対しても入国禁止措置を取ると発表する前に、韓国政府に事前通知を行わなかったことが分かった。外交部高官は27日、記者団に「昨日突然の発表があった」とし、「事前通知を受けられなかったことについて遺憾に思う」と述べた。
韓国政府は、今回の入国禁止措置を事前に知らされなかったことについて、中国政府に遺憾を表明し、韓国国民の被害の最小化に努めるという立場だ。中国への対応措置について、政府はまず中国現地公館を通じて国民の被害と今後の影響などを検討してから、対応策を講じるという立場だ。同高官は「長期在留資格を持っていても入国が禁止されるため、韓国国民が不便を強いられるものと見られる」とし、「国民の被害を最小限に止めなければならず、具体的にどのような措置を取るかを検討している」と述べた。
政府はただし、今回の措置の対象が韓国など特定の国ではなく、全世界を対象にしたという点は考慮するという立場を示した。韓国はこれに先立ち、武漢と湖北に対する入国禁止や湖北省で発給されたビザ(査証)の無効化、ビザ発給の強化、済州島(チェジュド)へのノービザ入国の中断などの措置を取った。
一部で中国をはじめ外国からの入国を禁止すべきという声が上がっていることについて、外交部当局者は「防疫当局が外国の状況と危険を評価しており、国内の対応体制などを考慮して、関係省庁が毎日協議を行っている」とし、「外国に対する全面的な入国禁止が必要な状況ではないと聞いている」と述べた。
外交部のキム・ゴン次官補は同日午後、ケイ海明駐韓中国大使を呼んで抗議した。ケイ大使は外交部で記者団に応じ「中韓間の往来は続いている。途絶えていない」とし、「韓国の人は必要ならば中国公館や総領事館などビザを申請できる。これからも引き続き協力する」と述べた。駐韓中国大使館も同日配布した報道資料で「(入国禁止措置は)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態に対応するため、多くの国々の方法を参考にしてやむを得ず取る臨時措置」だと説明した。さらに「現在、中韓間の人的交流が中断されたわけではない」とし、「経済貿易や科学技術など必要な活動で中国に行かなければならず、人道的な面から中国との往来が必要な韓国国民、韓国にいる他の国の国民は駐韓中国大使館と総領事館でビザを申請できる」と強調した。
一方、政府は、日本が韓国・中国からの入国者に対する入国制限を1カ月延長したことについては、現在日本の状況が悪化しているため、韓国も現在の入国制限を維持するとの立場を示している。同高官は「日本の措置とは異なり(韓国が日本に取った制限措置には)期限がない」とし、「日本側の状況がどのように展開するかを見て必要な措置を取る方針だが、基本的に(感染者が)増加する傾向にあるため、調整や見直しが必要な段階ではなく、既存措置を維持する」と述べた。