23日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者の20%が欧州など国外から入ってきたことが確認され、国外からの流入の遮断が第3次流行の拡散を防ぐ最優先課題として浮上している。国外からの流入関連感染事例が相次いで発生していることを受け、防疫当局は米国からの入国者に対する検疫強化策も近いうちに発表する予定だ。
中央防疫対策本部(防対本)の説明を総合すると、この日新しく感染が確認された64人のうち、国外からの流入と関連した感染者は14人で、全体の21.9%に上る。欧州と米州からの入国者がそれぞれ6人と8人だ。13人は検疫の過程で確認され、残りの1人は入国後に陽性判定を受けた事例だ。今月22日から全数検査の対象になった欧州からの入国者は、ほとんどが海外在住者や留学生など韓国人だ。防対本は「前日、欧州発航空便6便をはじめ欧州から1442人が入国したが、そのうち90%ほどは韓国人」だと発表した。入国者のうち有症者は152人、無症者は1290人だ。無症者の場合、法務研修院(忠清北道鎮川)や韓国道路公社研修院(京畿道華城)など臨時生活施設で診断検査を受けたが、同日夕方まで、3人の感染が確認されたことが分かった。
防疫当局は、米国からの入国者に対しても全数検査の可能性を残し、追加の検疫強化措置を協議している。チョン・セギュン首相は同日、中央災難安全対策本部会議で「北米からの入国者は欧州の2倍を超える大規模」だとし、米国からの入国者に対する検疫強化案を用意する必要があると指摘した。中央事故収拾本部のユン・テホ防疫総括班長は「欧州以外の国々から来る入国者に対する検疫強化案を現在用意している」とし、「近く発表できるだろう」と述べた。
米国からの入国者まで全数調査するためには、関連する人材と予算を確保することが重要となる。海外からの入国者全員を対象に特別入国手続きを実施した19日から4日間(19~22日)で、北米地域から入国した人数は平均2920人だ。現在、1日に1万5千~2万件の検査の量を消化することができるが、感染が疑われる国内患者と欧州からの入国者検査を考慮すれば、余裕分は1日5千件前後だ。チョン・ウンギョン防対本本部長は「(入国者の)自主隔離の際の管理余力と予算、検査した際に検査にかかる多くの人員と費用についても一緒に考慮している状況」だとし、「(各国の)危険度に備えた対応体系について引き続き議論している」と述べた。
防疫当局は、他の国でもほとんど自国民の入国までは遮断しておらず、全面的な入国禁止措置よりは、現行の方式通り早期診断を前面に出した国外からの流入の遮断に力を入れた方がより効果があると見ている。欧州のように全面的な封鎖措置を取らない理由について、チョン・ウンギョン本部長は「国内の増加速度を見る限り、イタリアやドイツなど欧州のように急激な流行のパターンではない」とし、「大邱(テグ)や慶尚北道地域は集団発生の危険がかなりあるが、他の地域はまだ散発的な発生にとどまっている」と診断した。
外国人入国者の診断検査費用まで国庫で支援することは“税金の無駄遣い”ではないかという一部意見についても、「無駄とは思わない」と答えた。また「感染者が入国した場合、その人による2次、3次(感染で)内国人への被害が懸念されるため、それを遮断するために検査を行っている」と強調した。現行の検疫法は、感染が疑われる場合は検査できるようになっているが、地域社会への感染拡大を遮断する目的で行われるため、国が費用を負担するのが原則だという説明だ。
高麗大学九老病院のキム・ウジュ教授(感染内科)は、「現在、欧州などから入ってくる人の大半が韓国国民であるため、全面的な入国禁止は現実的に実行できない。全体の入国者の10%に過ぎない外国人の入国を禁止するのは、経済的・外交的状況を考慮すると実益がないと思う」とし、「今のように全数検査をしながら(検査に必要な) 人材と資源が過負荷になることに対する(分散)システムを構築することが重要だ」と指摘した。
一方、外交部は同日、来月23日までの1カ月間、全世界を対象に旅行を延期したり取り消すよう勧告する「特別旅行注意報」を発令したと発表した。世界各地で突然の国境封鎖や空港閉鎖などが実施され、帰国が困難になる韓国人が増えているためだ。