新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が長期化し、23日に予定されていた全国の幼稚園と小中高校の始業式が4月6日に再び延期される可能性が高まっている。学校を通じた地域感染を防ぐための措置だ。しかし、全国の全ての学校の始業式を延期した未曾有の事態が1カ月以上続けば、法定授業日数の削減による学習被害や学童保育における空白の長期化など、様々な波紋が予想される。
教育部は15日、「小中高校の追加休業(始業の延期)をめぐり、様々な案を検討しており、16~17日に(追加延期)するかどうかを発表する予定だ」と述べた。COVID-19の流行を受け、韓国政府はすでに二度にわたり幼稚園や小中高校の始業を延期している。しかし、始業式を行う予定だった23日が目前に迫ったにもかかわらず、感染病の勢いが衰えないことから、さらなる延期を検討せざるを得なくなったのだ。児童や青少年におけるCOVID-19の発症は多くないものの、学校を媒介として地域社会に感染が広がる危険性が高いからだ。クォン・ジュヌク中央防疫対策本部副本部長は同日の定例ブリーフィングで、「児童や青少年層が(COVID-19の)感染拡大の過程では増幅集団または静かな伝播集団となる可能性が高い」と述べた。
予定通り始業式を行った場合、学校が感染者の発生などに適切な対応ができるかどうか、懸念されるという意見もある。最近、教育部が進めた全国市・道教育監や感染病専門家らとの会議でも、このような内容が集中的に検討された。これと関連し、パク・ヌンフ中央災難安全対策本部第1次長は「始業の時期自体はまだ決めていないが、政府が各学校の特性に合った始業以降の防疫指針をまとめている」と述べた。
始業をさらに延期することは、これまでとは全く異なる局面に入ることを意味する。これまでは冬休みを繰り上げて使い、新学期の始まりを見送る形だったが、今後は法で定められた授業日数(幼稚園180日、小中高190日)自体を減らさなければならないためだ。
授業日数の削減は特に中高生において問題になる可能性がある。もし4月から新学期が始まれば、直ちに中間テストを受けることが困難で、内申評価などに支障をきたす恐れがある。大学修学能力試験(大学共通の入試)の日程などにも影響を与えかねない。このため、一部の教育庁は、すでに中間テストを遂行評価(実技、提出物、レポートなどによるパフォーマンス評価)に切り替えるよう勧告している。
幼稚園児や小学校低学年の学童保育における空白の長期化も懸念される。教育当局が8歳以下の子どもを持つ保護者に緊急保育サービスを提供しているが、申請率と実際の利用率ともに極めて低い。感染病の流行を受け、集団保育そのものを避ける保護者が多い上、緊急保育プログラムそのものが不十分だという不満も大きいからだ。
「保育の空白」はそのまま私的な負担になる。しかし、これまでは教育機関の代わりにほかの家族に頼むなど、その場しのぎの方法を取ってきた場合でも、1カ月以上それを続けるのは困難だ。学校の非正規労働者など休業期間中の学校関連労働者の給与問題や私立幼稚園や塾の授業料の返金問題などにも飛び火する可能性がある。
一部では感染拡大の度合いによって地域別に始業時期を変えようという提案もあるが、教育当局は「全国を対象にした一律措置」を原則としている。感染病専門家たちも教育部にそのような意見を伝えたという。このため、教育部は23日から始業を強行するか、4月6日に再び延期するかをめぐり、選択を迫られる見通しだ。
一方、教育当局の勧告により、始業式を見合わせていた大学のうち多くが16日から新学期を始める。ただし、大半の大学が今後から2週間ほど対面授業を避け、非対面・オンラインで授業を進める計画だ。