ソウル九老区(クログ)のあるコールセンターを中心として、79人が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性判定を受けたことが分かった。人口密集度が高い首都圏で発生した初の大規模な集団感染で、同コールセンターの職員たちから更なる感染者が見つかる可能性が高いうえ、2次感染も広がっている状況であり、防疫当局は非常事態となった。
中央防疫対策本部(防対本)とソウル市による10日の説明を総合すると、ソウル九老区のエース損害保険コールセンターで、職員と教育生、その家族など、少なくとも79人(夜9時現在)がCOVID-19の陽性判定を受けた。新天地イエス教、慶尚北道の清道(チョンド)デナム病院、忠清南道天安(チョナン)のズンバダンス教室に次いで、4番目に規模が大きい集団感染だ。全体的な拡散の勢いは鈍っている。同日0時現在のCOVID-19の累積患者数は、前日より131人増加の7513人。同日までに247人が隔離解除され、60人が死亡している。防対本の把握によると、全感染者の80.2%が集団感染に関連するもの。
同日までに確認された家族(3人)と接触者(2人)を除く大半の感染者は、コールセンターが入居するコリアビルディングの11階で働いていた職員たちだ。防対本は、同じ階で働いていた207人の職員全員に対する疫学調査と検体検査を行っている。コールセンターで初の確定感染者は、4日ごろに初めて感染の疑われる症状が現れ、7日にソウル恩平区(ウンピョング)の保健所で検査を受け、8日に陽性判定を受けて西北病院に入院した。症状が現れてからはマスクをつけ、蘆原区(ノウォング)にある自宅と九老区の会社だけを行き来していたことが確認された。
コリアビルディングの7~9階でも同じ会社のコールセンターの職員たちが勤務中で、職員は全体で600~700人程と見られる。防疫当局は、別のフロアで働く職員もエレベーターで接触しうるため、共通の動線を把握して検査を拡大する予定だ。ソウル市はコリアビルディングのオフィステル(オフィスと居住空間を兼ねた部屋)居住者全員を診断検査することにした。現在、同ビルは全体の消毒作業を終え、1階から12階までのオフィススペースが全面閉鎖されている。
防疫当局は、ひとつの階に200人を超す人が集まっているうえ、コールセンター業務の特性上、マスクの着用が難しかったことが広範な伝播につながったものと見ている。疾病管理本部の現行の「COVID-19集団施設・多重利用施設対応指針」によると、このような密集施設では感染管理のための専従職員を指定配置するとともに、施設内で働く人にはマスクの着用などの個人の衛生管理を徹底することを勧告しているが、これを強制できるわけではない。フレックス勤務制も雇用主の判断なしには不可能だ。中央事故収拾本部のユン・テホ防疫総括班長は「(このような指針は)雇用主の協力が絶対的に必要だ。人が密集する事業所は、感染の危険性が療養病院や療養施設に劣らず高いため、指針を全般的に見直す」と述べた。
今回のコールセンター関連の感染者はソウル(51人)、京畿(13人)、仁川(インチョン、15人)など、人口が多い首都圏で確認されたということも、さらなる伝播の懸念を強めている。ソウル在住の感染者は、九老区だけでなく恩平、江西(カンソ)、陽川(ヤンチョン)、蘆原(ノウォン)、冠岳(クァナク)、銅雀(トンジャク)、松坡(ソンパ)、永登浦(ヨンドゥンポ)、衿川(クムチョン)、中区(チュング)など、住居が複数カ所に広がっている。仁川では、感染が確認されたコールセンターの職員と同じ食堂で食事した市民1人が陽性判定を受けるなど、2次感染の事例もすでに出ている。防対本のクォン・ジュヌク副本部長は「感染経路が定かでない患者から始まる集団感染が、特に人口が多いソウルや京畿道地域で発生した場合、第2、第3の新天地のような爆発的な増幅集団に発展する恐れがある。現在のところ最も注視している状況」と述べた。
防疫当局は、このように感染経路の不明な散発的な集団感染が続いているため、今回のコールセンターの事例を含め、全ての集団感染事例と新天地イエス教の信者との関連性を再検討する計画だ。クォン副本部長は「集団感染(事例)を調査し、これまで中心増幅集団だと強調してきた新天地信者との関連性も再度見直してみる考え」と説明した。
パク・ダヘ、チェ・ユンテ、ホン・ヨンドク、イ・ジョンハ記者