日本政府が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止を理由に、韓国人に対するビザなし入国の中止と2週間の隔離などの措置を発表した翌日、韓国政府が直ちに日本人に対するビザ免除措置の停止と特別入国手続きの適用などの措置で対抗したのは、日本の措置を防疫目的ではなく「非友好的外交措置」と判断し、強く対応する意志を示すためと見られる。
チョ・セヨン外交部第1次官が6日、日本の措置に対する4つの措置を公式発表するに先立って、同日午前、大統領府で開かれた国家安全保障会議(NSC)常任委員会などでは、日本政府が韓国といかなる事前協議もなく、一方的措置を下したことに対し、強い遺憾を示す意見が出たという。ある大統領府関係者は「COVID-19事態に我々は開放性と透明性という原則に沿って、厳しい状況にもかかわらず、対外的措置をできるだけ控えて相互協議を進めている」としたうえで、「しかし、日本政府は韓国政府と何らかの協議もなく、一方的に措置を発表した。最も近い隣国にこのようなことをされたからには、相応の措置が必要だと判断している」と述べた。昨年だけで約560万人の韓国人が日本を訪問したことからも分かるように、人的・物的交流が緊密な両国関係に甚大な影響を及ぼす事案を、日本が事前協議や通知もなく電撃的に発表したことを黙って見過ごすわけにはいかないということだ。
日本政府の居直りの態度に対する激昂した反応もあったという。ある大統領府関係者は「日本はCOVID-19の防疫と検査水準が韓国よりはるかに不十分で、実際の感染者数も不透明で、より危険性が高い」とし、「そんな日本が韓国に向かって入国制限措置を強化したのは納得し難い」と述べた。韓国が、一日約1万3千人ずつCOVID-19検査を実施し、結果を透明に公開しているのに比べ、日本は5日までに厚生省が公式集計した検査者数が6777人で、クルーズ船と地方の検査を合わせても、合計約8千件に過ぎないとされる。日本国内でも東京五輪開催のために安倍晋三首相が感染者数を減らし、状況を隠蔽しようとしているという批判が高まっており、こうした危機から逃れようと安倍首相が政治的目的の“韓国バッシング”に乗り出したという分析もある。外交部は同日、「防疫以外に他の意図があるのではないか疑わざるを得ない」という反応を示した。日本の朝日新聞も日本政府の措置に「政治的意図が見え隠れする」とし、「(安倍首相が)自分の指導力を演出しようとする狙いがあると見られる」と評価した。
保守マスコミと政界の一部では、韓国滞在歴のある人の入国を制限する国と地域が102に達する状況で、韓国政府が中国の韓国人対象隔離措置などについては特別な対応を示さず、日本だけを問題視しているという反応もある。これに対し、外交部当局者は「中国に対してはすでに特別入国手続きなど多様な措置を取っている」とし、「(韓国人に対する措置も)中国の地方政府と協議して改善されている状況」だとし、日本と中国の状況は異なると強調した。中国に対しては、韓国政府が湖北省と武漢に対する入国禁止と、中国から入ってくる旅行客に対する特別入国手続きをすでに実施しており、中国は地方政府レベルで韓国人に対する隔離措置を取っているという点で違いがあるという説明だ。
日本は防疫能力が十分であるにもかかわらず、国民の不安を理由に、事前協議や通知なしに突然韓国からの入国を遮断した一方、韓国は日本にすでにCOVID-19が広がっている状況でも入国制限措置を取らず対応してきたが、日本が今回科学的根拠もなく措置を取ったのは不当だというのが韓国政府の判断だ。
韓日両国が2002年ワールドカップ共同開催をきっかけに実施した相互ビザ免除措置を中止したのは18年ぶりで、昨年、日本の韓国に対する輸出規制と強制動員被害者問題の解決策をめぐる対立に続き、再び荒波の中に向かっている韓日関係の現状を示している。