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独りで自宅隔離、不安な集団生活…障害者対策まだ見えず

登録:2020-03-04 02:35 修正:2020-03-04 07:48
一人暮らしが難しいケース多いのに 
活動支援士の確保は困難 
突然の集団感染の危険も大きい 

当局や自治体の指針は事実上皆無 
「重症度一段階引き上げ」が唯一
障害者差別禁止推進連帯の会員たちが先月17日午前、ソウル鍾路区の政府ソウル庁舎前で記者会見を開き、政府にCOVID-19に関する障害者支援策を講じることを求めている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 先月29日午前5時、大邱(テグ)のある障害者団体の活動家、チョン・ジウォンさん(31)は、前日の夜に同地域の障害者で初めて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性判定を受けた知的障害2級のAさん(48)の状態を確認するため、レベルD防護服を着て障害者自立住宅に入った。入院病床がなく家で待機していたAさんの体温を測り、家を消毒した。患者に状況を説明し、荷物をまとめるなど、入院前の準備もチョンさんの役目だった。

 チョンさんは現在、Aさんの同居人と「共同隔離」中だ。同居人は自宅隔離措置を受けたが、同居人も障害者なので生活の助けが必要なためだ。チョンさんは「COVID-19で隔離された障害者も心理的に萎縮している」とし、「地方自治体が自宅隔離者の支援として生米などを支給してくれたが、調理が困難な障害者には無用の長物だ。これから2週間、パックごはんや即席食品などで持ちこたえなければならないが、障害者の健康が心配」と話した。

 このようにCOVID-19に曝露した障害者の入院と自宅隔離の過程は、そっくりそのまま公的対応システムではなく民間団体が担っている。2日に大邱市北区(プック)の障害者施設「ソンボ・リハビリ院」で5人の重度障害者がCOVID-19の陽性判定を受けるなど、感染規模の拡大に伴って障害者の感染者と自宅隔離対象者も増えている。しかし、保健当局と地方自治体による障害者を対象とした対策は皆無である。

 障害者関連団体が最大の困難と訴えるのは、陽性判定を受けていない自宅隔離障害者の活動支援士問題だ。大邱の障害者団体「障害者地域共同体」の3日の説明によると、自宅で生活する同地域の障害者のうち、COVID-19の陽性判定または自宅隔離措置を受けたケースは計20世帯(陽性1、自宅隔離19)だ。自宅隔離された障害者が住む19世帯のうち、同居する家族のケアを受けるケースは11世帯、障害者団体の職員などが14日間「共同隔離」するケースは6世帯、一人で過ごすケースは2世帯だ。

 通常の日常生活でも助けが必要な障害者が自主隔離に入れば、活動支援士の必要性はさらに切実になる。特に意思の表現に困難を伴う人の場合、COVID-19に感染しても自分の症状を表現するには限界があり、誰かが生活をともにしつつ健康状態を確認しなければ、検査や治療を受ける前に症状が急速に悪化することもある。しかし、自宅隔離障害者からの感染の可能性が懸念されるため、活動支援士を探すのは容易ではないという。陽性判定を受け、陰圧室に入院しても活動支援士は投入されない。特に、新天地大邱教会を中心に患者が急増している大邱では、活動支援士が陽性判定を受けるか、自宅隔離対象者となる場合もあり、二重苦を強いられている。

 しかし保健当局と地方自治体は、こうした特性を考慮した障害者の検査や自宅隔離対策を立てていない。政府の公式の指針で「障害者」に関するものは、施設入所障害者の感染者の重症度を分類する際には一段階高く判断せよ、という内容がすべてだ。障害者地域共同体のチョ・ミンジェ事務局長は、「政府と自治体は障害者の感染者と自宅隔離者の特性に合った支援策を打ち出すべき。健康脆弱層に属する人々の危険度を考慮した指針が必要だ」と述べた。

ソン・ダムン、パク・ジュニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/930965.html韓国語原文入力:2020-03-03 21:22
訳D.K

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