米国は韓国の大邱(テグ)への「旅行禁止」を発令した。韓国からの入国禁止や、隔離などのより厳格な入国手続きを実施する国は81カ国となり、1週間で6倍に増加した。韓国と交流の多い主要国さえ、韓国への旅行や韓国からの入国の制限に乗り出している。
米国務省は29日(現地時間)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散に関連して、韓国の大邱について「旅行禁止」を発令した。米国人は韓国の大邱を訪問するなという勧告だ。韓国全体に対する旅行勧告はレベル3の「旅行再考」を維持しつつ、大邱にのみ最高段階であるレベル4に引き上げたのだ。国務省の処置はこの日、ドナルド・トランプ米大統領が26日に続き二度目のCOVID-19に関する緊急記者会見を行なった直後に取られた。
韓国から米国に行く旅行客に対する制限措置は取られなかった。しかし、COVID-19の世界的な拡散がより深刻になれば、米国が韓国からの入国を制限する可能性も排除できない。マイク・ペンス米副大統領はこの日、ホワイトハウスでの記者会見で「トランプ大統領が韓国やイタリアから米国を訪問する人に対する医療検査に関し、両国と協力するよう国務省に指示した」と明らかにした。大韓航空とアシアナ航空は28日から、米国行きの飛行機の全ての乗客に対する発熱チェックを搭乗前に行っており、体温が37.5度以上の場合は搭乗を拒否している。外交部の高官はこの日、非公式ブリーフィングで「今後も米国と西欧が相当期間にわたって入国制限を行わないと考えることはできない」とし「米国を見れば、徹底的に備えなければいつ危険にさらされるかわからないという危機意識がはっきりと感じられる」と述べた。
カン・ギョンファ長官は1日、スティーブン・ビーガン米国務副長官と電話で会談し、韓国政府が積極的に全数調査を実施するとともに全方位的な防疫措置を取っている状況を説明し、「両国間の交流を不必要に萎縮させうる過度な措置は自制してほしい」と強く要請したと外交部がこの日明らかにした。
日本は、外務省が28日にCOVID-19の拡散を理由として、韓国全域を「訪問注意」地域に指定した。日本は直近の14日以内に大邱市と清道郡(チョンドグン)に滞在した外国人については入国を禁止している。韓国外交部も29日、日本全域について旅行留意を意味する旅行警報レベル1を発令した。
韓国でCOVID-19の感染者が増え続けていることを受け、韓国からの入国を禁止したり、制限したりする国は1日現在、81カ国に増加した。
韓国からの入国を全面禁止したり、期間を設けて禁止した国は37カ国で、先週末にラオス、アンゴラ、ベトナム、キルギスタンなどが加わった。特に、ベトナムは韓国人のノービザ入国を中止したのに続き、29日には韓国発の旅客機のハノイ空港への着陸を不許可にした。ベトナム当局は、このような措置を現地時間の29日午前8時15分(韓国時間午前10時15分)から実施するという内容を、午前8時30分ごろになってようやく各航空会社に電話で通知したため、同日午前10時10分に乗客40人を乗せて仁川(インチョン)から出発したハノイ行きのアシアナ航空OZ729便は離陸40分後に仁川空港に引き返すことになった。ベトナムは、カン・ギョンファ外交部長官が28日夕方にファム・ビン・ミン副首相兼外相との電話会談で、ノービザ入国の中止に強い遺憾の意を表明した翌日に、韓国発の航空機の着陸を禁止した。外交部は1日、在韓ベトナム大使を呼んで厳重に抗議するとともに、在ベトナム韓国大使が現地の保健次官に会うなど、関連措置の撤回に向けて努力中だと明らかにした。
トルコも29日、韓国発着の全ての旅客機の運航を中断することを決めた。1日午前にイスタンブール空港を出発して仁川空港に向かう予定だったトルコ航空の便などが取り消され、この日220人あまりが空港で待機している。外交部当局者は「航空券を変更して第3国経由で帰国できるように、現地大使館の領事担当者たちが努力中」と明らかにした。
検疫の強化や一定期間の隔離など入国手続きを厳格化したのは中国を含めて44カ国で、この日ナイジェリアとホンジュラスが加わった。中国内の韓国人に対する入国手続きを厳格化した省および直轄市は、北京、天津、重慶、広東、遼寧、山東、上海、四川、浙江、江蘇など14カ所だ。
パク・ミンヒ、イ・ジョンエ記者、ワシントン/ファン・ジュンボム、東京/チョ・ギウォン特派員