国と船会社の清海鎮(チョンヘジン)海運などに対し、セウォル号惨事の生存者への損害賠償を命じる判決が出た。
光州(クァンジュ)高等裁判所民事2部(ユ・ホンジョン裁判長)は19日、Aさん(2019年死亡、当時66歳)が国と清海鎮海運、韓国海運組合などを相手に起こした損害賠償請求訴訟の控訴審で、原告一部勝訴の判決を下した。また、Aさんが請求した慰謝料と治療費の内訳などを算定し、計約6900万ウォン(約656万円)の賠償を命じた。
裁判所は、事故当時に海洋警察が船を降りるよう案内する退船誘導措置を怠った業務上の過失と、清海鎮海運などが貨物の過積載と固縛不良の状態でセウォル号を出港させるとともに、船長と船員が救護措置なしに退船した違法行為が、Aさんの身体的・精神的傷害を招いたと認定した。ただし国については、事故誘発ではなく救助の過程での過失のみが認められるとし、事故中にAさんが被った身体の傷害に責任はなく、精神的被害に限って一部責任がある、と判断した。
大型トラックの運転手だったAさんは2014年4月16日のセウォル号沈没惨事当時、現場で救助されたものの腰を痛め、生業に従事できず精神的苦痛に苦しむ中、がんと診断され昨年11月にこの世を去った。Aさんは惨事の1年後に犠牲者家族と事故海域を訪問した時も「事故直前に食堂で出あった子どもたちと一緒に出て来られなかったことが、いつも苦しかった」と吐露している。
一方、セウォル号惨事の生存者である檀園高校の生徒16人や家族など76人が国と清海鎮海運を相手に起こした損害賠償請求訴訟でも、損害賠償を命じる判決が昨年1月に出ている。