本文に移動

「退船命令出した」虚偽の公文書まで…国にセウォル号惨事の責任を問う

登録:2020-01-07 06:10 修正:2020-01-07 08:41
海洋警察指揮部6人に対する事前拘束令状を請求 
キム・ソクキュン海警庁長の指示で虚偽の会見も 
救助失敗後、責任隠しに奔走 
 
2014年の捜査の時に明らかになったずさんな対応 
大統領府と法務部の外圧のため竜頭蛇尾に 
「海洋警察の指揮ラインに対する拘束令状の請求が 
コントロールタワーを捜査する基盤になるだろう」
ソウル光化門広場で開かれたセウォル号惨事の全面再捜査を求めるろうそく文化祭の様子=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 「海洋警察の指揮部や事故現場に一緒に出動した海洋警察にも、乗客救助の不備に対する共同責任がある」

 2015年7月、セウォル号沈没当時、救助活動に失敗した疑い(業務上過失致死罪など)で起訴されたキム・ギョンイル元海洋警察123艇長の控訴審で、光州(クァンジュ)高裁刑事6部(ソ・ギョンファン裁判長)は懲役4年の原審を破棄し、懲役3年を言い渡しながら、このように述べた。救助失敗の責任をキム元艇長だけに問うわけにはいかないとして、1年を減刑した代わりに、他の海洋警察官の共同責任を指摘したのだ。事故発生から5年9カ月後の2020年1月6日、セウォル号沈没惨事特別捜査団(特捜団)がキム・ソクキュン当時海洋警察庁長などに対する事前拘束令状を請求し、当時の海洋警察指揮部、ひいては国家の責任を初めて問うことができるようになったという分析が出ている。

■救助の指揮を執らなかった指揮部…虚偽の公文書の作成まで

 セウォル号救助が失敗した最も大きな理由として、「退船命令の不在」が挙げられている。当時、海洋警察の指揮部は誰も退船命令を出さず、セウォル号の乗組員らは「(その場で)動かないでください」という船内案内放送を行った。現場に出動した123艇は放送装備を備えていた。海洋警察は操舵室から脱出する乗組員らのみを救助し、檀園高校生徒250人を含めて304人が命を失った。

 事故当日午前8時52分頃、檀園高校の生徒チェ・ドクハ君の通報で事故状況が木浦(モッポ)海洋警察署状況室に届けられた。海洋警察庁本庁の状況室は8時58分に、西海(ソヘ)海洋警察庁状況室は9時に事故の報告を受けた。西海海洋警察庁状況室は、珍島(チンド)海上交通管制システム(VTS)を通じて、セウォル号の状況を把握したが、9時23分に「退船命令を出すかどうか、船長自ら判断せよ」という趣旨の命令を下した。海洋警察本庁は午前9時36分、乗客の半分以上が船に閉じ込められているというキム・ギョンイル元123艇長の報告を受けたにもかかわらず、「船内へ進入」や「退船命令」などの指示を出さなかった。水難救護法上、最初の現場指揮者に当たるキム・ムンホン木浦海洋警察署長がヘリに乗って直接現場に移動し、救助指揮を執らなければならない状況だったが、彼は3009艦にとどまり、午前9時49分まで何の指示もしなかった。

 救助に失敗した海洋警察は責任隠しに奔走した。海洋警察は退船命令を下さなかったという指摘とともに、海洋警察指揮部の救助放棄に対する非難世論が高まったことを受け、退船命令を数回実施したという虚偽の記者会見を2014年4月28日に開いた。キム・ソクキュン当時海洋警察庁長は、セウォル号特別調査委員会第1回聴聞会で、「この記者会見を直接指示した」と証言した。海洋警察警備安全局(当時局長イ・チュンジェ)も、キム・ソクキュン庁長の指示を受けて退船を命令したという「初動措置や捜索救助の争点」(2014年5月30日)という虚偽の公文書を作成した。

■セウォル号特捜団、“国の責任”を追及するか

 海洋警察のずさんな対応と虚偽の公文書の作成などは、2014年の捜査の際にも大半が確認された事実だ。当時、キム・ギョンイル元艇長だけを起訴した検察も、このような問題点を把握し、海洋警察指揮部全般に対する捜査計画を立てた。2014年5月29日、検察が作成した捜査報告書には「海洋警察本庁や西海海洋警察庁、木浦海洋警察署、海上警察中央救助本部、珍島管制センターなどに勤務するセウォル号事件の通報受付、状況伝播、救助や捜索活動を担当した公務員など」が予想される被疑者に挙げられていた。

 しかし、当時の検察捜査は大統領府と法務部などの“外圧”により、尻すぼみに終わった。2014年6月、検察の海洋警察本庁などに対する強制捜査当時、ウ・ビョンウ当時大統領府民情秘書官が電話で圧力をかけており、同年7月にキム・ギョンイル元艇長に対する拘束令状請求が検討された際には、ファン・ギョアン当時法務部長官が「業務上過失致死」の疑いを削除するよう外圧を行使したという疑惑が持ち上がっている。

 今回の事前拘束令状の請求が、政府の救助失敗の責任を問う第一歩になるという分析もある。「民主社会のための弁護士の会」セウォル号TFチーム長だったイ・ジョンイル弁護士は、「当時の政府の責任の核心は、海洋警察の指揮部と大統領府のコントロールタワーの初動対応の失敗だ。海洋警察指揮部の責任の究明が大統領府のコントロールタワーの捜査へと進む基盤になるだろう」と述べた。

ファン・チュンファ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/923397.html韓国語原文入力:2020-01-07 02:42
訳H.J

関連記事