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宿屋で、待合室で…無縁仏166人の魂を弔う

登録:2019-12-17 02:47 修正:2019-12-17 07:56
16日、ソウル駅前広場に設置された「ホームレス記憶の階段」 
無縁仏166人、レッドカーペットとバラで追悼 
ホームレス行動「ホームレスに適切な住環境の提供を」 
22日、ソウル駅前広場で2019ホームレス追悼祭を開催
16日、ソウル駅の階段に、この1年に劣悪な住環境で寂しく生涯を終えた人々を追悼する「ホームレス記憶の階段」が設けられた。「2019ホームレス追悼祭共同企画団」は22日までを「ホームレス追悼週間」とし、行事を行う予定=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 1959年生まれのAさんは10月30日、ソウル麻浦区のとある旅館で死亡した。工事現場で日雇い労働をしていた彼が突然死亡した理由も、縁者もわからない。同僚はいるが、家族のいない彼の死は「無縁死」に分類された。1959年生まれのBさんも先月20日、鷺梁津(ノリャンジン)駅の待合室で死亡しているのが発見された。死亡した理由はやはり不明だった。家族はいるが、彼の遺体の引き取りを拒否した。ユンさんも「無縁故者」として世を去った。

 16日午後2時、ソウル駅前広場には、彼らを弔うきれいなレッドカーペットが敷かれた。カーペットの上には166の額が整然と並べられた。「1957.12.3~2019.3.4 故キム・ジョンヨン様」、「1982.?.?~2019.4.6 故シン・エラン様」。額の中には、昨年12月から今年11月までにソウルの路上や長屋などで縁故なく死亡した166人の名と生年月日、この世を去った日時と場所が書かれていた。生きて順調な人生を歩めなかった人々の霊前には、166輪のバラが置かれた。2019ホームレス追悼週間を迎えて設置された「ホームレス記憶の階段」だ。

 「ホームレス行動」などの41の市民団体が立ち上げた「2019ホームレス追悼祭共同企画団」はこの日午後2時、ソウル駅前広場で「2019ホームレス追悼週間宣布記者会見」を開き、この1年間に劣悪な住環境で生涯を終えた人々を追悼するとともに、ホームレスのための実質的な対策を求めた。主催者側は、政府がホームレスに適切な居住環境を用意すべきだと語った。「ホームレス行動」活動家のイ・ドンヒョンさんは「10月に発表された政府対策には住居脆弱階層に賃貸住宅2千戸を提供すると出ている。これは毎年政府が策定してきた数字だ。2018年人口住宅総調査によると、無住宅世帯は45万世帯なのに、2千戸程度の供給が住居問題を解決するという政府の供給計画と言えるのか」と発言した。

 今年10月にソウル市都市計画委員会の審議を通過した中区ヤンドン地区再開発事業に対する指摘も出た。ヤンドン地区には南大門(ナムデムン)の長屋が集中している。イさんは、「ソウル市と中区役所のヤンドン再開発区域計画を見ると、長屋住民のための内容はただの一文字もない。公園が作られようが建物が建てられようが、住民が入れないのは火を見るより明らかだ」と指摘した。さらに、「長屋の住人が追い出される開発ではなく、居住権が享受できる開発でなければならない」と主張した。この日の記者会見の出席者は、「ヤンドン長屋開発、居住者に対する対策づくりをせよ」や「ヤンドン地域整備計画より長屋住民の住居対策が先だ」などのプラカードを手にしていた。

16日午後2時、ソウル駅前広場でホームレス行動などの41団体が「2019ホームレス追悼週間宣布記者会見」を行っている=カン・ジェグ記者//ハンギョレ新聞社

 記者会見では、ホームレスを対象にした「名義盗用犯罪」被害の対策が必要だとの声も上がった。ソウル社会福祉公益法センターのキム・ドヒ弁護士は、「改正された電子金融取引法では、通帳やカードを貸した者に対しても例外なく懲役刑や罰金を科す。名義犯罪被害者らを加害者の共犯としてのみ扱う国の態度が如実に表れている」とし、「経済的に困窮し、社会経験が足りない人とそうでない人に同じ責任を問うのは実質的な平等ではない。実際に利益を得たり所得を得たりしていない人が、すべての債務負担を負い、一生を国への債務に苦しむ結果も正義ではない」と語った。

 今年で19年目を迎えたホームレス追悼祭は、22日夕方6時40分にソウル駅前広場で行われる。追悼祭では追悼発言や歌の公演、ホームレス権利宣言などの行事が行われる。

カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/921011.html韓国語原文入力:2019-12-16 17:35
訳D.K

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