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[ニュース分析]相次ぐ北朝鮮の「重大な実験」…訪韓したビーガン代表に注がれる視線

登録:2019-12-16 06:14 修正:2019-12-16 11:20
北朝鮮「13日の実験、戦略的核抑止を強化」 
ICBM開発をほのめかし、米国に圧力かける 
ビーガン代表通じたトランプ大統領のメッセージに注目 
 
「北朝鮮、新たな計算法を望むが、米国が全く答えず」 
韓国が軍事演習中止の架け橋の役割果たすべき
米国の北朝鮮専門メディア38ノースは今月12日(現地時間)、北朝鮮が「極めて重大な実験」を行ったとした平安北道鉄山郡東倉里の西海衛星発射場で、長さ10メートルのトラック道などが捉えられるなど活動が続いていると報じた=38ノースホームぺージよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮国防科学院が「13日、西海衛星発射場で重大な試験が再び行われた」とし、「戦略的核戦争抑止力をさらに強化するのに適用されるだろう」と、14日午後に発表した。それから約7時間後の14日夜10時40分、パク・ジョンチョン朝鮮人民軍総参謀長は「米国の核脅威を牽制・制圧するため、もう一つの戦略兵器の開発に適用されるだろう」と述べた。7日と13日の「重大な実験」が新大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を念頭に置いていると、遠まわしに表明したわけだ。韓国政府は、この「重大な試験」がエンジン燃焼試験だと判断している。

 14日、2回にわたる北朝鮮の発表は、米国などの国連安全保障理事会(11日)を「政治的挑発」とし、「絶対に黙って見過ごすわけにはいかない」と言った外務省報道官談話(12日)に続くものであり、スティーブン・ビーガン米国務省副長官指名者兼北朝鮮政策特別代表の15日の訪韓を翌日に控えて行われた。

 北朝鮮が米国に対決と交渉の二者択一を迫っているわけだ。実際にはドナルド・トランプ米大統領が6・12シンガポール首脳会談の時に約束した韓米軍事演習の中止方針の再確認、米国に「先に非核化、後で制裁解除」の態度から脱し、段階的同時・並行措置の交渉に乗り出すよう求めるのが主な内容だ。

 トランプ大統領がビーガン特別代表の訪韓を機にどのような対北朝鮮方針を表明するか、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長に親書を送る首脳外交を展開するかが、年末年始の朝鮮半島情勢のバロメーターになる見通しだ。

 北朝鮮はこれまで控えていた「核抑止力」に触れ、強硬発言を行っている。平安北道鉄山郡東倉里(トンチャンリ)衛星発射場での二回の「重大な実験」と関連し、「戦略的地位の変化」(8日、国防科学院報道官の発表)→「戦略的核戦争抑止力の強化」(14日、国防科学院報道官の発表)→「もう一つの戦略兵器の開発」(14日、パク・ジョンチョン談話)といった具合だ。パク・ジョンチョン総参謀長は「談話」で、「力の均衡が徹底的に保証されてこそ、真の平和を守り、我々の発展と将来を保障することができる」とし、「交渉による平和」から「力を通じた平和」へと政策基調を変える可能性を示唆した。

 ただし、強硬一辺倒ではない。パク・ジョンチョン総参謀長は「我が軍隊は最高指導者(金委員長)のいかなる決心も徹底的に貫徹するすべての準備が整っている」とし、「対話も遠ざけてはならない」と述べた。北朝鮮は14日の発表を対外用の「朝鮮中央通信」のみに公開し、「人民の必読メディア」の「労働新聞」には掲載しなかった。その代わり、「労働新聞」は15日付1面で「全国党宣伝担当者」と「全国青年学生たち」の「白頭山(ペクトゥサン)革命戦跡地訪問行軍」のニュースを大きく報道した。内部に向けては「いかなる苦難にも耐えなければならない」と精神武装を促し、外部に向けては「交渉の扉はまだ完全に閉ざされていない」というシグナルを発信しているわけだ。

 問題は米国の態度だ。ビーガン特別代表は10月初めのストックホルム朝米実務協議の際、6・12シンガポールの共同声明4項目の履行の構想を6時間にわたって説明したが、北朝鮮側の主な関心事の「韓米軍事演習の中止」と「制裁の緩和・解除」問題には全く触れなかったという。アレックス・ウォング国務省北朝鮮政策特別副代表兼北朝鮮担当副次官補も11月5日、戦略国際問題研究所(CSIS)のセミナーで、「70年間にわたる朝鮮半島の戦争状態の終息」に向けた「平和体制の構築」の必要性を強調しながらも、制裁問題は口にしなかった。ウォン副代表は同日の非公開対話で、「先に非核化、後で制裁緩和・解除」という方針に変わりはないと述べたと、出席者は伝えた。北朝鮮がストックホルムの交渉以降、20回にわたって「米国非難談話・発表」を立て続けに行った背景には、このような米国の態度がある。

 元高官は「金委員長は『新たな計算法』を一貫して要求しているが、米国が的外れな答えをしているのが問題だ」とし、「トランプ大統領が約束した軍事演習の中止の方針を再確認し、制裁問題も段階的に解決していくというのが朝米交渉再開の最小要件だ」と指摘した。北朝鮮が「米国の対朝鮮敵視政策」の両軸として取り上げてきた「国家安全への脅威」は韓米軍事演習に、「人民の生存権と発展権を妨げる障害物」は対北朝鮮制裁に照準を定めている。同高官は「制裁問題は国連など国際社会が絡んで一方的宣言が難しいならば、軍事演習の中止問題だけは文在寅(ムン・ジェイン)大統領が積極的な声を上げ、交渉再開の架け橋の役割を果たす必要がある」と付け加えた。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/920908.html韓国語原文入力:2019-12-16 02:37
訳H.J

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