「マスコミの日常的な取材活動か、住民の日常を壊すプライバシー侵害か」
いっときマスコミの集中攻撃を受けたチョ・グク前法務部長官が先月辞任したが、依然として彼の一挙手一投足を追う一部マスコミの無差別な報道に、地元の住民らが「プライバシーの侵害」を訴えた。
チョ前長官が現在居住しているソウル瑞草区(ソチョグ)方背洞(パンベドン)のマンションの同じ棟に住む住民Aさんは11日、ハンギョレとの通話で「総合編成(ケーブルテレビや衛星放送で全てのジャンルを扱うチャンネル)など一部のマスコミの記者らが明け方から夜遅くまでカメラを突き付けて、住民の同意なしに撮影をし、日常生活にひどい不都合を強いられている」と不満をぶちまけた。
Aさんと住民たちの言葉を総合すると、チョ前長官をめぐるマスコミの取材活動は度を超している。一部のマスコミは、チョ前長官辞任後も彼の一挙手一投足を追う。今でもほぼ毎日3~4人の記者が常駐している。チョ前長官がかぶった帽子、チョ前長官の山登りなど、公益的価値とはかけ離れたゴシップ記事があふれる。住民たちは「こんなことも知る権利に当たるのか。記者たちが団地内に駐車している車を覗いたり、ゴミ捨て場まであさる時は、恐怖感すら感じる」と訴えた。
これに先立つ9月、チョ・グク前長官の自宅を家宅捜索した時は100人あまりの記者が押し寄せ、チョ前長官の妻のチョン・ギョンシム教授の召喚・逮捕の時も同じだった。Aさんは「チョ長官の辞任後3日間だけは記者たちを見かけず、生きた心地がした。ところが3日後からまた記者たちが現れて、塀に張り付いて立っていた」と話した。抗議が殺到すると、最近は自社のロゴを付けた乗合車の代わりにレンタカーや電動キックボードを利用して住民の目を避けているマスコミもある。
住民は数人で顔を合わせるたびに「いつまで関係もない住民たちを撮影するのか」、「うちの子どもがテレビの資料画面に出ている」、「近所の人たちを全員撮ってデータベースでも作るつもりか」と憤りをぶちまけている。
我慢の限界にきた一部の住民が、記者らが頻繁に行き来する場所に「報道対象のプライバシーを保護しなければならない」という内容が書かれた韓国記者協会の倫理綱領や「持続的いやがらせ」を警告する軽犯罪処罰法の条項も印刷して貼ったが、効果はなかった。
住民たちは、警察に通報しても意味がないと訴えている。「マスコミの取材活動は警察はどうにもできない。どうしても耐えられなければ民事(訴訟)を提起しては」という返答が関の山だからだ。民主言論市民連合のキム・オンギョン事務処長は「言論の自由と国民の知る権利も重要だが、追撃ジャーナリズムに対する一般市民たちの防御権の保障も切実だ。マスコミに対応する市民防衛権を社会的に考えるべき時だ」と指摘した。