23日の終了を控え、文大統領「譲れない」
米国防長官まで訪韓し、最後まで圧力かける
「中国包囲」の韓米日軍事協力の主軸
MD稼動・北朝鮮核問題への対応には情報共有が不可欠
米国、15日に開かれる安保協議会を起点に
インド太平洋戦略への全面参加宣言を要求してきたもよう
専門家「綿密な検討後、選別的に受け入れるべき」
23日0時終了予定の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長を求める米国の圧力が強まっている。先週訪韓したデビッド・スティルウェル国務省東アジア・太平洋次官補が政府当局者らに会ってGSOMIAの重要性を強調したのに続き、15日に開かれる韓米安保協議会議(SCM)出席のため今週ソウルを訪問するマーク・エスパー国防長官も、終了まで秒読みに入ったGSOMIAの延長を強く要求するものと予想される。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日、5党代表との晩餐会で「GSOMIA問題のような場合は、原則的なものではないかと思う」として、日本が輸出規制を撤回しない限り、中途半端な譲歩はしない意向を明らかにした。
しかし、米国は終了延期論まで持ち出し、最後まで延長に向けた圧力をかけ続けるものと見られる。米国はなぜこのようにGSOMIA延長に向けた総力戦を繰り広げているのだろうか。米国の「インド太平洋戦略」という大きな構想抜きには説明できない。中国の牽制のために米国が進める同戦略の核心である韓日米軍事協力を進展させるには、GSOMIAが不可欠であるからだ。国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル諮問研究委員は「米国の主要な目標は、インド太平洋戦略に韓国を全面的に参加させることであり、その一環としてGSOMIAの維持と防衛費分担金の大幅増額が必要だ」とし、「米国のGSOMIA・防衛費要求は下位概念で、核心はインド太平洋戦略への全面参加の要求だ」と指摘した。政府当局者も「米国の高官が相次いで韓国を訪問し、GSOMIAの延長に総力戦に乗り出したのは、インド太平洋戦略において、GSOMIAがそれだけ重要であるからだ」と述べた。
従来の米国の東アジア戦略では、米国を中心軸にして、韓国や日本、オーストラリアなどが車輪のスポークのような役割を果たしてきた。韓国と日本は基本的には同等な位置だった。ところが、インド太平洋戦略では、米国や日本、インド、オーストラリアが中国を四方から包囲する主導国家(クアッドブロック)となり、その下位パートナーとして韓国や台湾、シンガポール、ベトナムなどが組み込まれる構図が進められている。
この構想のもとで、米日同盟はグローバル同盟としての地位が強化されているが、日本の安倍政権は安保法制の制定を強行し、「朝鮮半島での有事への介入」を念頭に置いた「重要影響事態」「存立危機事態」の概念を新設し、朝鮮半島への介入の可能性を拡大した。このため、北朝鮮の武力攻撃の兆しが見えた場合、先制攻撃をするためには、GSOMIAを通じて北朝鮮のミサイル発射の初期軍事情報をもらわなければならない。
2009年4月と5月、北朝鮮が長距離の宇宙ロケットと2回目の核実験を実施したことを受け、2010年10月に日本の外相がGSOMIAとACSA(物品役務相互提供協定)締結を提案し、韓日GSOMIAに向けた協議が始まった。2012年6月27日、韓日がGSOMIAの締結に合意し、韓国の国務会議で議決したが、密室推進をめぐる議論と世論の反発で中止された。2016年11月23日、朴槿恵(パク・クネ)政府が韓日GSOMIAを再び強行して締結した。
さらに大きな枠組みから見ると、中国牽制を目指すインド太平洋戦略の重要な軸の一つが韓日米ミサイル防衛(MD)だが、これが機能するためには軍事情報を共有する枠組みであるGSOMIAが欠かせない。韓日米情報保護約定(TISA)は北朝鮮の核ミサイル情報のみを共有することになっているが、GSOMIAは事実上制限なくすべての軍事情報を共有できる。
米国は特に、15日の韓米安保協議会議を基点に韓国がインド太平洋戦略の全面参加を宣言することを求めてきたという。韓国に反中国戦線への参加を明確にすべきという要求だ。GSOMIA延長に向けた圧力も同会議を基点に最高潮に達するものとみられる。米国の防衛費分担金の大幅な引き上げ要求にも、アジア太平洋戦略に関する費用が反映されているという。チョ・ソンニョル研究委員は「韓国はインド太平洋戦略の中で韓国が参加する部分について、米国にまず具体的リストを要求した後、綿密な検討を経て受け入れられる部分だけを選別して応じなければならず、日本の態度変化がなければ、原則に則ってGSOMIAは終了すべきだ」と提案した。