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北朝鮮のミサイル、移動式発射台から直接発射する技術までは備えていないもよう

登録:2019-11-07 06:26 修正:2019-11-07 07:36
大陸間弾道ミサイルの発射能力をめぐる議論 

チョン・ウィヨン室長「難しいだろう」発言後 
キム・ヨンファン国防情報本部長、国政監査で 
「可能」→「不可能」に答弁を修正 

専門家「重量が大きく、液体燃料であるため 
高度な技術が必要で、制約がある」
北朝鮮が2017年11月、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星-15」型を発射している=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を移動式発射台(TEL)から発射できるだろうか。「北朝鮮の大陸間弾道ミサイルを移動式発射台から発射するのは難しいと見ている」というチョン・ウィヨン大統領府国家安保室長の最近の発言が議論を呼び、北朝鮮の移動式発射能力に関心が集まっている。北朝鮮の移動式発射能力に対する評価は、韓国と米国の態勢に直結するからだ。

 キム・ヨンファン国防情報本部長は6日、国防部で開かれた国会情報委員会の国政監査で「北朝鮮が移動→起立→発射までできる移動式発射台からは、大陸間弾道ミサイルを発射できない」と述べたと、国防部が伝えた。キム本部長の発言は、先月8日の国会国防委員会国政監査で、「(北朝鮮の)大陸間弾道ミサイルは現在、移動式発射台から発射できるレベルまで高度化している」と答えたことから一歩後退したものだ。北朝鮮の移動式発射能力に対する軍の判断が、チョン室長の発言と違う意味で受け止められる可能性がある点を意識したようだ。

 一般的に移動式発射台とは、移動(Transporter)▽起立(Erector)▽発射(Launcher)機能を統合した兵器システムを指す。北朝鮮は2017年7月4日と28日、大陸間弾道ミサイル「火星-14」を、11月19日には「火星-15」を発射したが、いずれも移動式発射台にミサイルを積んで発射場所まで移動してから、別途に設置した発射台を活用した。移動と起立までは移動式発射台で行われたが、発射段階までは進めなかったのだ。国家情報院も国会情報委員会で、「北朝鮮の移動式発射台は大陸間弾道ミサイルを発射地点まで運び、ミサイルを別途の台に固定してから、現場を離れた」と報告した。

 大陸間弾道ミサイルを移動式発射台から直接発射するのは技術的な難題だと専門家らは指摘する。韓国国家戦略研究院のキム・ソンゴル安保情勢分析センター長は、「大陸間弾道ミサイルは短距離や中距離ミサイルに比べて重量と出力が非常に大きいため、移動式発射台から直接発射するには相当な技術力が必要だ」と指摘した。さらに、北朝鮮の大陸間弾道ミサイルは液体燃料を注入しなければならず、移動式発射台から発射するには制約がある。キム本部長も「北朝鮮は大陸間弾道ミサイルを移動式発射台から発射しようとしたが、問題が生じてできなかった」と答えた。問題が何だったのかについては明らかにしなかったが、移動式発射台から直接発射するのに必要な技術的要素のためと見られる。

 にもかかわらず、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを発射する手段として移動式発射台を運用していることには注目する必要がある。北朝鮮が昨年7月、東倉里(トンチャンリ)ミサイル試験場と発射台を放棄したが、朝米の非核化交渉が失敗した場合、いつでも大陸間弾道ミサイルを望む場所に移して発射することができるためだ。北朝鮮がこれまで移動式発射能力を改善した可能性も排除できない。慶南大学のキム・ドンヨプ教授は、「重要なのは、大陸間弾道ミサイルを移動式発射台から直接発射できるかどうかではなく、東倉里発射台が廃棄された後も、大陸間弾道ミサイルの発射ができるということだ」と指摘した。

ユ・ガンムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/916087.html韓国語原文入力:2019-11-07 02:44
訳H.J

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