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韓国、8月5日から喫煙者対象の肺癌検診を開始

登録:2019-08-01 10:04 修正:2019-08-02 01:17
福祉部、一日1箱、30年以上吸った54~74歳が対象 
放射線露出量減らしたCT検査で検診実施へ 
 
約千円の自己負担料で2年に1回ずつ検査 
過剰診断に反対する医者たち「偽陽性で医療費浪費」
成均館大医学部のイ・ジョングォン教授(家庭医学科)をはじめとする医師7人で構成された過剰診断予防研究会は3日午前、ソウル市鍾路区新門路の韓国プレスセンターで記者会見を行い、国家肺癌検診を政府が国民に公式に薦める国は世界のどこにもないとして反対意見を主張した//ハンギョレ新聞社

 国家検診としては不適切との批判を受けている肺癌検診事業が8月5日から始まる。対象は、一日1箱ずつ30年以上たばこを吸った満54~74歳の喫煙者だ。

 保健福祉部は、満54歳から74歳までの長期喫煙者を対象にした低線量コンピュータ断層撮影(CT)肺癌検診事業を来月5日から始めると30日明らかにした。低線量CTは、放射線露出量を大幅に減らした検査で、ややもすれば高濃度の放射線に露出し癌などの重症疾患が生じることを憂慮して作られた検査だ。検診事業は、癌検診実施基準(告示)により満54~74歳の男女のうち、30パックイヤー以上の喫煙歴を持つ人を対象に、2年周期で施行する。1パックイヤーは一日平均のたばこ消費箱数に喫煙年数をかけた値で、30パックイヤーは毎日1箱ずつ30年間吸ったり、毎日2箱ずつ15年間吸うことを意味する。

 検診は2年に一回ずつ実施するので、今年は奇数年度の出生者が検診対象者になる。検診対象者は、国民健康保険公団が31日から発送する肺癌検診票(案内文)と身分証を持ち、検診票に出ている肺癌検診機関を訪問すれば良い。検査期間は来年12月末までだ。肺癌検診費は、約11万ウォンのうち10%の約1万ウォン(約千円)を払うことになる。健康保険料等級下位50%と医療給付受給権者は本人負担金がないので、無料で検診を受けることができる。

 福祉部は29日基準で合計230の肺癌検診機関(総合病院級以上の一般検診機関)を指定した。指定された肺癌検診機関は、健康保険公団のホームページの健康イン(hi.nhis.or.kr)で確認できる。福祉部は、肺癌検診の後には検査結果を基に必要なら検診機関の禁煙治療支援事業と連係して、禁煙相談などの事後相談サービスを提供する。

 肺癌は、韓国での癌死亡1位だ。2017年基準で人口10万人当たり癌の種類別死亡率は、肺癌35.1人、肝臓癌20.9人、大腸癌17.1人、胃癌15.7人の順だった。

 肺癌検診に対しては、国家検診プログラムとして導入された事例が世界的に見られず、ややもすれば偽陽性判定で医療費の浪費はもちろん、健康を害することもあるという批判が提起されたことがある。成均館(ソンギュングァン)大医学部のイ・ジョングォン(家庭医学科)教授と高麗大医学部のシン・サンウォン(腫瘍内科)、アン・ヒョンシク(予防医学教室)教授、カトリック医大のイ・ジェホ(家庭医学科)教授など医師7人で構成された過剰診断予防研究会は、今月3日午前ソウル市鍾路区(チョンノグ)新門路(シンムンロ)の韓国プレスセンターで記者会見を行い、「肺癌検診を積極的に実施したり、国家が国民に公式に薦める国は世界のどこにもない」として「国家肺癌検診は、医療の本質を忘却した危険な政策で、直ちに中断しなければならない」と主張した。

 研究会が肺癌検診に対して国内外の資料を調査して、この日公開した結果によれば、米国の場合、自発的に肺癌検診を受けた国民1千人のうち351人は偽陽性だった。すなわち検診を受けた人々のうち35%は癌でないのに検診では癌が疑われると出てきて、癌の恐怖に震えなければならなかったし、その後に追加で高価な確診検査を受けなければならなかったということだ。実際に偽陽性と出てきた患者351人のうち、3人は癌が疑われるという肺組織を一部採取して検査する過程で合併症が生じたし、1人は死亡したということだ。研究会は「放射線露出が少ない低線量CT検査で実施するというが、この方法が喫煙者などの肺癌を早期に発見し検診法として適切だという根拠は世界的にも見当たらない」と批判した。

キム・ヤンジュン医療専門記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/903913.html韓国語原文入力:2019-07-30 20:26
訳J.S

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