自由韓国党のファン・ギョアン代表が、外国人労働者に内国人と同一の賃金水準を保障するのは公平ではないとし、党レベルで賃金水準を差別化する立法に乗り出すと明らかにした。政界と学界では「外国人に対する差別・嫌悪を助長する発言」であり「雇用市場の特性を理解していない無責任な発想」という批判が強い。
ファン代表は19日、釜山商工会議所で開かれた釜山地域の中小・中堅企業代表らとの朝食懇談会で「韓国にこれまで貢献したものがない外国人たちに算術的に同じように賃金水準を維持するのは公正ではない。差別があってはならないという基本価値は正しいが、公平性に合わない差別禁止になってはならない」と述べた。続いて「韓国党が法改正を通じて積極的に外国人労働者の賃金の問題点を改善する」と明らかにした。外国人労働者には最低賃金を下げて適用できるように、関連法の条項を見直すという話だ。さらにファン代表は「内国人(韓国人)は国家に税金を納めるなど韓国に貢献した方々であり、彼らのために一定の賃金を維持して税金の恩恵を与えることは国民として義務を果たすこと」だと付け加えた。
実際、韓国党は外国人労働者の最低賃金を下げる法案を何件も発議した。18日にもソン・ソクジュン議員が「農林水産業で意思疎通がうまくとれないなどの理由で労働生産性が低い者」には最低賃金の適用に例外を置くことができるようにした最低賃金法改正案を代表発議した。現行の最低賃金法が「精神障害・身体障害がある場合」に限定した最低賃金適用例外対象に外国人労働者を追加したのだ。
ファン代表の発言が報じられると、「事実歪曲」であり「明白な嫌悪表現」という批判が相次いだ。淑明女子大学のホン・ソンス教授はハンギョレとの電話で、「外国人労働者が国内経済に貢献したものがないということからして深刻な事実歪曲であり、明白な嫌悪表現」だとし、「しかも最低賃金より低い賃金を受け取っている外国人労働者が少なくない状況で、そうした差別を露骨化するという意味だ」と指摘した。現行の労働基準法は国籍などを理由にした差別的待遇を禁止しており、国際労働機構(ILO)協約も国籍・人種を理由にした賃金差別を禁じている。
ファン代表の主張通り、内国人・外国人の賃金を差別化する場合、さらに大きな問題をもたらすという指摘も出た。正しい未来党のハ・テギョン議員はフェイスブックに、「同じ仕事をするのに賃金が安ければ、賃金を少なく払う労働者を雇うようになり、賃金を多く払わなければならない人は雇用しないだろう。結局、外国人の最低賃金差別政策の被害は、韓国の若者がそっくり受けることになる」という文を上げた。所得主導成長など文在寅(ムン・ジェイン)政府の経済政策を強く批判してきた高麗大学のイ・ハンサン教授も「人種差別をめぐる議論はさておき、外国人労働者の(最低)賃金を法律で低くすれば、事業をする人が外国人労働者を雇用し、韓国人は雇わないだろう。人権感覚も『0』だが、経済感覚は『-100』だ」と皮肉った。