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[ニュース分析]ユン・ソクヨル・ソウル中央地検長、次期検察総長候補に抜てき

登録:2019-06-18 09:40 修正:2019-07-20 09:25
「ユン・ソクヨル抜擢」越えなければならない課題 
 
左遷当時の法務部長官はファン・ギョアン現韓国党代表 
自由韓国党、人事聴聞会に意気込み 
 
ソウル中央地検長から直行 
捜査の公正性に懸念の声「悪い先例に」 
 
「与野党の区別ない検察主義者」タイプ 
政権後半の捜査方向は予測できず
検察総長候補者に指名されたユン・ソクヨル・ソウル中央地検長が17日午前、ソウル瑞草洞のソウル中央地検を出て記者団の質問に答えている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 大統領府は17日、ユン・ソクヨル・ソウル中央地検長を次期検察総長候補者に指名し、「不正および腐敗の一掃」「検察改革の完遂」を頼んだ。検察内外では、国政壟断事件の捜査を通じて国民の支持と信望を得た「ユン・ソクヨル体制検察」にかける期待が大きい。一方、大統領府が彼を指名したことで与党と検察が負うことになる“リスク管理”の負担は課題として残った。

■ファン・ギョアンとの悪縁…人事聴聞の険難

 現在の自由韓国党のスタイルを考えれば、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が次期検察総長に誰を指名しても反発する態勢だが、ユン候補者はその中でも際立つ。李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)元・前大統領を拘束起訴した彼は、極右・保守勢力の「公敵」だからだ。これに先立つ2013年、国家情報院の大統領選世論操作事件の特別捜査チーム長だった時は、朴槿恵政権の“逆鱗”に触れたが、当時の捜査外圧行使などを巡る議論の当事者だったファン・ギョアン法務部長官は現在、自由韓国党代表だ。

 こうした気流を反映したのか、朴槿恵大統領府の報道官だったミン・ギョンウク自由韓国党代弁人はこの日、「文在寅側の人であるユン候補者が大統領府の命令に従って剣舞を踊るだろう」と主張した。野党が意気込んでいるだけに、国会の人事聴聞会も厳しくなるものと思われ、配偶者の財産(66億ウォン)や家族問題が争点になりそうだ。

■検察総長への直行に対する論争

 大統領府がソウル中央地検長を検察総長に指名したのは、良くない前例として残る見通しだ。全国最大規模のソウル中央地検には政治的に敏感な腐敗・公安事件が集中するが、文在寅政権発足後、こうした偏りはさらに多くなった。

 2011年、李明博大統領がチョン・ソングァン、ハン・サンデ・ソウル中央地検長を検察総長に指名した時も、主要事件で任命権者や“次のポスト”を念頭に置いた無理な捜査やずさんな捜査をめぐる議論が起きかねないという懸念と反対が多かった。文在寅政府も2017年5月、ソウル中央地検長を高等検察長級から検事長級に格下げし、「2005年に高等検察庁長級に格上げされた後、政治的な事件の捜査において総長任命権者の顔色をうかがうという批判が相次いだ点を考慮した」(ユン・ヨンチャン国民疎通秘書官)と明らかにしている。

■与野党の区別ない検察主義者

 ユン候補はいわば「よく切れる刀」だ。ただし、「人に忠誠を捧げない」という彼の言葉のように、刀を使う人の思い通りには動かない。ユン候補の普段の志向やスタイルは、進歩や改革より頑固な「保守検察主義者」に近い。敵味方の区別なく、罪があれば捜査するという方式だ。文大統領は同氏を指名し、「権力の外圧に揺るがない剛直さ」を高く評価したが、これは現在の与党にもそのまま適用されるということだ。検察総長は第一線の捜査の方向や緩急、強弱を統括する役割をしなければならないが、「ユン・ソクヨルのスタイル」はこうした政務感覚が鈍いだろうという評価にもつながっている。

 一方、このようなスタイルが検察首脳部の政治的考慮を減らし、捜査の公正性を確保し、任命権者の負担を減らすという分析もある。

キム・ナムイル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/898238.html韓国語原文入力:2019-06-17 21:31
訳M.C

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