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「李明博大統領府、ダース投資金回収に介入」…封印解けたBBK

登録:2017-10-17 23:14 修正:2017-10-18 17:59
検察、李明博元大統領の在任時期の 
BBK事件介入疑惑捜査に着手 
疑惑認定されれば、職権乱用と「10億円台秘密資金」 
公訴時効も残っており“有効”
李明博元大統領とダース=イラスト//ハンギョレ新聞社

 李明博(イ・ミョンバク=MB)元大統領が、在任時代に大統領府を動員して「BBK株価操作」関連事件に介入したという疑惑に対して、検察が本格捜査に着手してBBK事件が再照明を受けている。BBK株価操作事件の被害者が李元大統領介入の証拠として目星をつけた「大統領府文書」を検察に提出したと明らかにし、李元大統領の直接関連性が証明されるかにも関心が集まっている。

 17日、株価操作の被害者であるオプショナルキャピタル(オプショナルベンチャースの後身)チャン・ヨンフン代表理事が検察に出した告発状によれば、李元大統領はキム・ジェス元ロサンゼルス(L.A.)総領事とともに職権乱用疑惑で告発された。チャン代表は告発状で「2011年当時、大統領府の要人がキム・ギョンジュン元BBK投資諮問代表にダースが投資した資金を返すよう圧迫し、結局オプショナルキャピタルが受け取らなければならない損害賠償金をダースが横取りしていった。この過程に李明博元大統領の指示があった」と主張した。

(株)ダースとキム・ギョンジュンの関係図//ハンギョレ新聞社

# 「MBダース実所有」疑惑とはどんな内容なのか

 キム・ギョンジュン氏は2001年、BBKの子会社としてオプショナルベンチャースを買収し、域外ファンドなどを動員して株価操作に乗り出し、検察が捜査に入ると会社の資金384億ウォンを横領し米国に逃げた。以後、オプショナルベンチャースをはじめとしてBBKに190億ウォンを投資したダースなどが損害賠償請求訴訟に出た。告発状を出したオプショナルキャピタルのチャン代表は、数年間にわたる米国での訴訟の末に2011年に勝訴して、資金を返してもらう直前だった。だが、大統領府の圧力でキム・ギョンジュン氏がスイスの秘密口座にあった資金140億ウォンをダースにひそかに送ったために、資金を受け取ることができなかったというのがチャン代表の主張だ。現代自動車の部品納入企業であるダースは、李元大統領の兄であるイ・サンウン氏が大株主であり会長を務めているが、李元大統領が実際の所有主であるという論議が絶えなかった会社だ。

 チャン代表は李元大統領が大統領在任時代に、キム・ジェス元L.A.総領事と大統領府行政官を通して事件に介入したという疑惑を提起している。李元大統領が大統領府の官吏らを通じてダース関連事項の報告を受け、「資金回収」に必要な指示をし、キム・ギョンジュン氏と「闇取り引き」を通じてスイスの秘密口座の差し押さえを解除し、ダースの投資金を回収したということだ。

 キム・ジェス元L.A.総領事はこの過程で「行動隊長」の役割を果したという疑惑を受けている。キム元領事が米国現地でダース関係者たちを呼び、数回にわたり投資金回収対策会議を行い、キム・ギョンジュン氏のスイス秘密口座凍結問題などを大統領府の行政官を通じて検討させたということだ。また、キム元領事は、キム・ギョンジュン氏を圧迫して、スイス口座の資金のうち140億ウォンをオプショナルキャピタルではなくダースに送るように合意を勧める準備をしたという疑惑も受けている。これと関連してチャン代表は、当時の大統領府行政官が作成したと分かった「キム・ギョンジュン関連L.A.総領事の検討要請事案」というタイトルの公文書を検察に証拠として提出した。この文書には、キム・ギョンジュン氏を相手に犯罪収益規制法や腐敗財産没収・回復特例法、刑事司法共助条約を適用できるかを検討した内容が含まれていることが分かった。また、キム氏の姉であるエリカ・キム氏、妻のイ・ポラ氏に対する犯罪人引き渡し請求なども検討したと伝えられる。

李明博元大統領が28日午前、ソウル市江南区の自分の事務室に出勤している=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

# 告発事件を迅速割当て、捜査指揮部の顔ぶれに注目

 検察は元大統領に関連した事件としては異例に、速かにソウル中央地検3次長傘下の先端犯罪捜査1部(部長シン・ボンス)に事件を割り振った。これに先立って、2008年に李明博当時大統領当選者に対する「BBK株価操作とダース借名保有」疑惑を捜査するためにチョン・ホヨン特別検察官チームが組まれたが、40日間の捜査の末に内密調査を終結し嫌疑なしで処分したことがある。だが、2012年のハンギョレの報道で、ダースで100億ウォン台の秘密資金が造成され、特検がこれを知っていながら覆い隠したという事実が確認され、李元大統領の介入疑惑に火が点いたことがある。検察としては、今回李元大統領の「ダース借名保有疑惑」に対して事実上の再捜査に出たわけだ。

 捜査を指揮するシン・ボンス先端犯罪捜査1部長は、2008年チョン・ホヨン特別検察官チームに派遣され、当時ダース問題を詳しく調べたことがある。先端犯罪捜査1部をリードするハン・ドンフン3次長とユン・ソギョル・ソウル中央地検長も過去に「現代自動車グループ秘密資金事件」を捜査したことがあり、現代自動車の部品納入企業である「ダース」の内部事情に比較的精通しているという。

 法曹界内外では、李元大統領の疑惑が認定されれば、職権乱用だけでなくすでに事実であることが確認された「100億ウォン台秘密資金」事件に対する公訴時効もまだ残っていると見ている。大統領は在任中には刑事訴追されない代わりに、大統領任期の5年間は公訴時効の進行が停止する。ダースで2003~2005年の間に100億ウォン台の秘密資金が造成されたとすれば、特定経済犯罪加重処罰法違反行為(横領・背任・脱税)がなされたことになり、公訴時効は10年だ。

ホン・ソクチェ、カン・ヒチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/814894.html 韓国語原文入力:2017-10-17 19:30
訳J.S(2626字)

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