金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が12日午後、妹の金与正(キム・ヨジョン)労働党宣伝扇動部第1副部長を通じて、李姫鎬(イ・ヒホ)金大中平和センター理事長の遺族宛に弔意文と弔花を送った事実が、「労働新聞」13日付1面に大きく報道された。
北朝鮮労働党中央委員会の機関紙「労働新聞」は同日付1面に、「敬愛する最高領導者、金正恩同志が金大中元大統領の夫人、李姫鎬女史の遺族らに弔意文と弔花を送った」というストレート記事と共に、「李姫鎬女史の遺族らへ」という題名で弔意文全文を掲載した。金与正副部長が板門店(パンムンジョム)の統一閣で、チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長とパク・チウォン金大中平和センター副理事長に会って、弔意文と弔花を渡す写真3枚も共に掲載された。
「労働新聞」のこうした報道には、二つの意味がある。第一に、金正恩委員長が弔意文と弔花を送った事実を、北朝鮮人民に直ちに公開したことだ。第二に、北朝鮮で最も権威のあるメディアの「労働新聞」1面に報道することで、弔意文と弔花を渡した事実の政治的意味を高めたことだ。“南北協力”の持続に向けた金正恩委員長の意志を裏付けるものと言える。
さらに、「労働新聞」は同日付の6面に「北南宣言の履行は時代の要求」という題名の「情勢論解説」で、「北南関係の改善は民族の連携を通じてのみ実現できる」とし、「事大的根性と外勢依存政策に終止符を打つべきだ」と主張した。ただし、こうした要求の対象を「南朝鮮当局」には特定しなかった。
特に注目すべきなのは、公式性の低いその他の宣伝メディアとは異なり、「労働新聞」の同記事で、「人道主義支援=副次的な問題」という論法の批判と非難が全く言及されなかったことだ。多数の北朝鮮の宣伝メディアは最近、持続的に「人道主義云々する副次的な見せかけで恩を売るつもりなら、それは誤算」(9日「わが民族同士」)などの主張を通じて、国際機関を通じた北朝鮮への人道支援を決定した韓国政府を非難し、「根本的問題の解決」を圧迫してきた。「労働新聞」のこうした態度は、北朝鮮指揮部が南側の「人道支援」の動きを、些細な問題として認識していないことを覗わせる。韓国政府が推進中の大規模な対北朝鮮食糧支援案が、南北関係の改善に向けた飛び石になり得るという期待を生む内容だ。