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米、北朝鮮の2番目に大きい貨物船を差し押さえ…前例ない圧迫に北の対応注目

登録:2019-05-10 22:37 修正:2019-05-11 07:37
■米国が差し押さえた「ワイズ・オネスト号」は 
中国・ロシアに石炭輸出し外貨稼ぎ 
昨年3月、北朝鮮の南浦港で石炭積み込み 
インドネシア海上を通過中に抑留 
米国に引き渡され米国領サモアに移動 
北朝鮮、法廷で没収の不当性争うかに関心
米法務省は9日(現地時間)、米国と国連安全保障理事会の制裁に違反して石炭を輸送した疑いで差し押さえた北朝鮮の貨物船「ワイズ・オネスト号」の姿を公開した。この船舶は現在、南太平洋の米国領サモアに移動しているという//ハンギョレ新聞社

 米国政府が9日(現地時間)に差し押さえの事実を公開した貨物船「ワイズ・オネスト号」は、北朝鮮で二番目に大きな貨物船だという。米国はこれまで制裁違反を理由に北朝鮮の人材と企業を欠席起訴したことはあるが、北朝鮮の船舶を差し押さえたのは今回が初めてだ。

 ワイズ・オネスト号は、長さ177メートル、1万7000トン級の大型バルク船で、1989年に建造された。主に中国やロシアに北朝鮮産の石炭を輸出し、外貨稼ぎに使われていたという。

 この船は昨年3月、北朝鮮の南浦港(ナムポハン)で石炭2万6500トン(約300万ドル相当)を積んで出港し、インドネシア近隣海上を航海している時に同年4月、インドネシア当局に抑留された。北朝鮮とシエラレオネの旗を掲げたこの船が、船舶自動識別装置(AIS)を消して運行し、領海進入を申告しなかったことなどが理由であった。昨年、インドネシアの裁判所がこの船のキム・ジョンソン船長に無罪を宣告し、インドネシア政府が北朝鮮の肩を持ったのではないかとの見方も提起された。だが、インドネシアの国内法だけで扱うべき事案ではないという米国の要求により、船を米国側に引き渡したと見られる。

 米国政府が差し押さえの根拠として提示したのは、米国の「国際緊急経済圏」(IEEPA)と国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に違反して石炭を輸送したということだ。ワイズ・オネスト号の船主であり、平壌所在の朝鮮松茸貿易会社の代表であるクォン・チョルナム氏がこの船の維持・保守費用を米国の金融機関に関連した口座を利用して支払っていたことも問題視した。

 米法務省は、差し押さえに続き完全にこれを没収するための民事訴訟もニューヨーク連邦裁判所に提起した。ニューヨーク南部連邦検察の資産没収所長には、裁判所が昨年7月17日ワイズ・オネスト号の差し押さえを許可する令状を発行しており、その後この船舶が米国政府の統制下にある事が明らかになった。ワイズ・オネスト号は現在、米国領サモアに移動中であることが分かった。

 差し押さえとは、本来の所有者が資産の処分や引き出しをできなくする措置で、没収とは不法行為を理由に資産を奪取することをいう。没収まで進めば、ワイズ・オネスト号は北朝鮮でなく米国の資産になるわけだ。米国の裁判所の判断により、ワイズ・オネスト号が没収されるならば、北朝鮮にとって打撃になると見られる。「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)放送は、船舶業界関係者の話を引用して、この船は老朽化しているが、大型であるため屑鉄として売っても300万ドルにはなるだろうと伝えた。北朝鮮は異議を提起することもできるが、北朝鮮が米国の裁判所で訴訟を進めた前例はない。

イ・ジョンエ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/893458.html韓国語原文入力:2019-05-10 20:06
訳J.S

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