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北朝鮮が亀城で発射したのも“イスカンデル”と推定

登録:2019-05-10 22:35 修正:2019-05-11 07:34
4日、虎島半島で発射した飛翔体と同一 
試験発射に続き信頼性と安定性を検証したもよう 
合同参謀「弾道ミサイルか否かは追加分析が必要」 
北朝鮮「長距離打撃手段を動員した火力打撃訓練」
北朝鮮が9日、金正恩国務委員長の指導の下に朝鮮人民軍前方および西部戦線防御部隊の火力打撃訓練をしたと「朝鮮中央通信」が10日報道した。「北朝鮮版イスカンデル」と推定される発射体が、移動式発射車両から空中に飛び立っている//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が9日、平安北道の亀城(クソン)で発射した飛翔体は、5日前に元山(ウォンサン)の虎島(ホド)半島で発射した戦術誘導兵器と、発射方式や弾体の形が同じであることが分かった。相当数の軍事専門家は、当時この発射体を「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれる短距離ミサイルと推定した。合同参謀本部は10日、この発射体に対する評価を短距離ミサイル“推定”から“判断”へ修正した。しかし、このミサイルが弾道ミサイルなのか否かについては、飛行特性と発射角度、射的距離、速度に対する追加分析が必要だとし、慎重な態度を見せた。

北朝鮮、短距離ミサイルを推定される飛翔体2発を発射=資料:合同参謀本部//ハンギョレ新聞社

■「北朝鮮版イスカンデル」の実戦能力を検証したか

 北朝鮮がこの日、朝鮮中央通信を通じて、9日に前方および西部戦線防御部隊の長距離打撃訓練を実施したと明らかにして公開したミサイルの写真を見れば、外形がロシアの短距離ミサイル「イスカンデル」と似ていた。北朝鮮が同じ種類のミサイルを4日に虎島半島で初めて発射し、9日には亀城でさらに2発を撃ったと見られる。北朝鮮は、概して東海(トンヘ)側でミサイルを試験発射した後に、西海(ソヘ)側から内陸部を横断する方式でミサイルの信頼性と安定性を検証しているという。

 合同参謀は、ミサイルのうちの1発は420キロメートル、残りの1発は270キロメートルを飛行したと推定した。前日までミサイルの最高高度を50キロメートルと推定していたが、この日の国会報告を通じて45~50キロメートルに修正した。写真に現れた移動式発射車両(TEL)は軌道型で、4日に捉えられたタイヤ型ではなかった。軌道型の発射車両は、河川や山のような険しい所でも機動性に優れ、タイヤ型より進歩した型と評価される。

■「弾道ミサイルか否かは追加分析が必要」

 合同参謀は、このミサイルが弾道ミサイルか否かについては判断を留保した。弾道ミサイルは、発射後に大気圏内外まで上昇し弾道を描いて飛行するミサイルを指す。北朝鮮が今回発射したミサイルが弾道ミサイルならば国連決議案に違反したことになる。

北朝鮮が9日、金正恩国務委員長の指導の下に朝鮮人民軍前方および西部戦線防御部隊の火力打撃訓練をしたと、朝鮮中央通信が報道した。訓練には「北朝鮮版イスカンデル」と推定される発射体の他に、240ミリ放射砲と新型自走砲と見られる兵器も動員された/聯合ニュース

 北朝鮮が今回発射したミサイルは、射程距離が短く高度が低いため、弾道ミサイルと規定するには追加分析が必要だという。特に、最終段階で精密な誘導がなされた点は、目標を正確に打撃する戦術ミサイルの特徴に近いと伝えられた。軍関係者は「一般的に、弾道ミサイルは正確度が高くなく、大量破壊を目的に使われる」として「今回のミサイルがそれに符合するかは確かめてみる必要がある」と話した。国家情報院もこの日、国会報告で「今までの分析パターンになじまない新型兵器体系である可能性があり、分析に時間がかかっている」と明らかにしたと伝えられた。

 韓国軍当局は、米国防部が今回のミサイルを弾道ミサイルと規定したという外信に対しても「公式立場でないと理解している」として線引きした。韓国軍関係者は「北朝鮮が撃った発射体を、現時点では短距離ミサイルと見ている」として「これは韓米共同の評価」と強調した。

■ 打撃訓練なのか武力挑発なのか

 北朝鮮は、ミサイル発射の後、近隣地域で砲射撃も実施した。朝鮮中央通信が公開した写真には、240ミリ放射砲と152ミリ自走砲が登場する。北朝鮮が昨年9月の政権樹立70周年閲兵式で披露した152ミリ自走砲は、射程が40キロメートルを超えるという。北朝鮮が在来式戦力の改良にも力を注いでいることを示している。240ミリ放射砲は、西海側に向かったと国家情報院は報告した。

 北朝鮮は、今回の訓練を「長距離打撃手段を動員した火力打撃訓練」と明らかにした。4日に実施した訓練を、長距離大口径放射砲と戦略誘導兵器を動員した火力打撃訓練と呼んだことと類似している。ハノイでの朝米首脳会談以後、米国のアプローチを修正することを圧迫し、韓米合同演習への牽制、内部結束力の強化など多目的布石を念頭に置いたと分析される。

ユ・ガンムン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/893476.html韓国語原文入力:2019-05-10 21:17
訳J.S

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