訪韓中のスティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表が、10日に予定された公開発言を全てキャンセルした。外交部が伝えた彼のメッセージは、「北朝鮮が交渉に復帰できる扉は依然として開かれている」ということだけだった。前日の北朝鮮の短距離ミサイル発射後、韓米が発言に慎重になりながら対策に腐心している。
10日午前、ソウル都染洞(トリョムドン)の外交部庁舎に入ったビーガン代表は、カン・ギョンファ外交部長官との面会に続き、イ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長と韓米の北朝鮮核問題首席代表協議を行い、作業部会の会議を共同主宰した。カン長官との面会で、ビーガン代表は「韓米間の疎通・協力を継続することが非常に重要な時点だ」としたうえで、「北朝鮮が交渉に復帰できる扉は依然として開かれている」と述べたと、外交部は明らかにした。北朝鮮のミサイル発射に対する直接言及を避け、最小限の反応だけを示したわけだ。イ本部長とビーガン代表の面会および韓米作業部会での協議内容も詳細に公開されなかった。
同日午後、キム・ヨンチョル統一部長官に会った際には、ビーガン代表が「朝鮮半島情勢の安定的管理が重要だ」という認識を共にし、「南北および朝米対話を早期に再開すべきという点を再確認した」と統一部が発表した。これに先立ち、ビーガン代表はキム・ヒョンジョン大統領府国家安保室2次長とも1時間20分間にわたり面会したが、大統領府も具体的な協議内容を明らかにしなかった。
両国は9日に行われた北朝鮮のミサイル発射後、予定になかったカン長官とビーガン代表の面会の冒頭発言を取材陣に公開すると発表し、ビーガン代表の発言に注目が集まった。しかし、当日の朝に行われる予定だったビーガン代表とイ本部長の略式会見は取り消された。さらに、カン長官とビーガン代表の面会における冒頭発言の公開日程も、キム長官との面会における冒頭発言の公開計画も取り消された。同日予定されていたビーガン代表の発言日程がすべて取り消されたということだ。米国側の要請と大統領府側の指示で合意された決定だという。
朝米が神経戦を繰り広げている敏感な状況で、まだ精製されていないメッセージを出すのは難しいという米国の判断と、“突発発言”に対する韓国側の懸念が働いたものと見られる。いずれにせよ、韓米両国の困惑した事情を反映したもので、まず状況を管理するための「ローキー」(控えめな)対応を示したものとみられる。外交部当局者は「昨日北朝鮮がミサイルを発射した状況で、慎重にメッセージを管理するため」と説明した。