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長時間労働に苦しむ郵便配達員、年間87日多く勤務

登録:2018-10-22 23:04 修正:2018-10-23 07:35
郵政本部労使・専門家で構成 
「配達員労働条件改善推進団」 
労働実態調査して必要人員を算出 
「2020年までに2千人増員」
ノ・グァンピョ郵政事業本部「配達員労働条件改善企画推進団」団長が22日午前、ソウルの光化門郵便局で開かれた記者会見で、労働条件実態調査の結果を発表している=郵政事業本部提供//ハンギョレ新聞社

 最近、配達員の過労死・過労自殺が社会的イシューになっているなかで、集配労働者の労働時間が一般労働者より年間87日多いことが分かった。郵政事業本部の労・使と民間専門家で構成された「配達員労働条件改善企画推進団」(推進団)は、長時間労働解消のために2020年までに配達員を2千人増員することを勧告した。

 推進団は22日午前、ソウルの光化門(クァンファムン)郵便局で記者会見を行い、配達員の労働時間・健康状態・職務ストレスなど労働条件実態調査の結果を発表し、人員増員など7つの政策分野、38の核心推進課題を郵政事業本部に勧告した。推進団は、昨年人手不足のために日曜出勤した集配労働者が亡くなり、集配労働者が郵便局前で焼身自殺するなど集配労働者の長時間労働の実態が知らされ、昨年8月に発足した。配達員で構成された労働組合二カ所と使用側2人、労使関係・産業安全などの専門家6人の計10人で構成された。

 実態調査の結果を見れば、集配労働者の年間労働時間は昨年2745時間で、2016年賃金労働者平均(2052時間)より693時間長く、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均(1763時間)より982時間も多いことが分かった。年間3千時間以上仕事をする集配労働者は、全体の8.4%もいた。出勤~退勤まで一日平均11時間6分滞留し、休憩時間は34.9分に過ぎなかった。集配労働者の有給休暇の使用率は27~28%で、政府部署平均の50.5%に比べきわめて低く表れた。

 このような長時間労働は、健康状態の悪化を招いた。最近10年間に集配労働者166人が亡くなったが、死亡原因はがん・脳心血管関係疾患・交通事故・自殺の順だった。特に昨年自殺した集配労働者は6人で、事故死(6人)、病死(7人)と近かった。労働災害率は公務員平均(0.49%)はもちろん、消防署員(1.08%)より高い1.62%と表れた。

 過労が大きな影響を及ぼす動脈塞栓症と血栓症は、集配労働者が教育公務員に比べ2.95倍、高血圧性心臓病も2.36倍多いと調査された。自動車の排煙・ホコリへの露出などにより慢性閉鎖性疾患も2.32倍高いことが分かった。職務と関連するストレスは、消防公務員・臨床看護師・空軍操縦士より顕著に高いと調査された。

 これに伴い推進団は、適正集配人員需要を測定した結果、週52時間労働を基準として2017年に比べて2853人の増員が必要だと判断した。すでに今年は小包委託配達員など1101人を増員したことを考慮して、来年1千人、再来年は財政条件を考慮して追加で1千人を正規職として増員することを郵政本部に勧告した。今年9月末基準で集配人員の数は2万254人で、10%程度を増員することになる。

 最近政府が「良い働き口」の拡大を基調に公務員定員を増やしていることが批判を受けているのに対して、ノ・グァンピョ推進団長(韓国労働社会研究所長)は「通常郵便は減少しているが、単独世帯の急増にともなう宅配物量は持続的に増加していて、毎年定年退職者も発生している点を考慮し、2千人の増員を勧告した」と明らかにした。

 今回の議論は、1年以上にわたりなされた推進団の議論に従ったものだ。昨年、集配労働者の死亡事故によって労使間葛藤の溝が深まったが、持続的な議論を通じて社会的合意に至ったと推進団は評価した。人員増員以外にも、土曜勤務廃止のための社会的協約推進▽労組・専門家が参加する安全保健管理システム構築▽集配負荷量システム改善も推進団の政策勧告に含まれた。

パク・テウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/866815.html韓国語原文入力:2018-10-22 20:57
訳J.S

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