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4464日かかった「コルテックの復職」…最長の労使紛争に終止符

登録:2019-04-23 06:47 修正:2019-04-23 07:23
会社側、遺憾表明・名誉復職などに合意 
労組「整理解雇の苦しみ、これ以上ないこと願う」
国内最長の労使紛争事業場であるコルテック労使が、整理解雇者の復職に暫定合意した今月22日午後、ソウル江西区登村洞コルテック本社前で42日間ハンスト中のイム・ジェチュン金属労組コルテック支部組合員(中央)が涙を流している=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 会社側との暫定合意文を持っていったイ・イングン金属労組コルテック支会長はずっと俯いていた。彼と共にソウル登村洞(トゥンチョンドン)のコルテック本社前のハンガーストライキ座り込み場に入ったキム・ギョンボン組合員は壁ばかり睨んでいた。ハンスト中のイム・ジェチュン組合員は、イ支会長から受け取った暫定合意文をじっと見つめていた。そして、紙一枚を持ち上げてかろうじて口を開いた。

 「合意文、これ一枚を受け取るために、13年を待ち続けました。労働者が闘争としてハンストを行うのは、私が最後になってほしいです。若い人たちがご飯も食べられず、どこかによじ登ることもないように願います」。こみ上げる涙を我慢しながら、目を赤く腫らした三人は、互いに視線を合わせられなかった。両手で目元を押さえていたイム組合員は、イ支会長に肩をたたかれて、ようやく薄いおかゆを口に入れた。42日ぶりの食事だった。

 22日、国内で最長紛争を記録したコルテックの戦いについに終止符が打たれた。この日で復職闘争を始めてから4464日、数えきれない時間を道の上で送った彼らは、ついに会社から事実上「整理解雇は過ちである」ことを認めてもらった。2007年「緊迫した経営上の理由」で整理解雇されたコルテック労働者3人は来月2日、復職する。

 コルテック労使は同日、ソウル江西区の韓国ガス公社ソウル地域本部会議室での最後の交渉を開き、整理解雇に対する会社の遺憾表明▽最後まで復職を求めてきた3人(イ・イングン、キム・ギョンボン、イム・ジェチュン)の復職▽彼らを含めたコルテック労組組合員25人に合意金の支給▽互いに提起した一切の民事・刑事・行政訴訟の取り下げなど、7項目に暫定合意した。労使は23日午前、同じ場所で調印式を開き、パク・ヨンホ社長とキム・ホギュ金属労組委員長が合意文に署名する予定だ。

 13年間にわたるコルテック闘争のきっかけは、2007年に行われた突然の整理解雇だった。会社側は経営上の理由をあげ従業員らを大量解雇し、コルテックの大田(テジョン)工場を閉鎖した。大田工場で生産されていたギターはインドネシア工場に引き継がれた。解雇された労働者は会社側の主張を受け入れることができなかった。コルテックは世界3位のギターメーカーであり、世界ギター市場の占有率が30%に達していたからだ。彼らは裁判所に解雇無効訴訟を提起した。

 2009年の整理解雇無効訴訟の控訴審で、ソウル高裁は解雇された労働者たちに軍配をあげた。整理解雇が「緊迫した経営上の危機によるものと見るのは難しい」として無効と判決したのだ。しかし、この判決は2012年に最高裁で覆された。破棄差し戻し審と最高裁上告の棄却過程で、裁判所は「未来に迫る経営危機に対処するための整理解雇は有効だ」という“斬新な”法論理を展開した。労働基準法第24条は「緊迫した経営上の必要」を整理解雇の基準として明示しているが、まだ見ぬ未来の可能性をその必要として認めたのだ。

 解雇された労働者たちが最も理解できないのが、まさにこの判決だ。昨年5月、最高裁判所の「司法行政権の乱用疑惑に対する特別調査団」は、2012年に行われた最高裁判所の破棄差戻し決定が、朴槿恵(パク・クネ)政権当時、ヤン・スンテ最高裁長官の裁判取引疑惑の一つだと発表した。ヤン・スンテ当時最高裁長官が自身の“宿願事業”だった上告裁判所の導入を進めるために、25人の整理解雇を一瞬で“正当なもの”に変身させたと、同調査団は説明した。

 それでも、一緒に冷たい風に吹かれ、降り注ぐ日差しの下で座り込みをしてくれた人たちのおかげで、寂しさを紛らわすことができた。闘争初期から音楽家たちがコンサートや文化祭などで連帯した。楽器博覧会が開かれるドイツや米国など、6回の国外遠征闘争の際には、現地の同胞たちも1人デモなどを通じて力を添えた。様々な市民社会団体は「コルテック闘争勝利のための共同対策委員会」を設置し、支援を行った。

 イ・イングン支会長は「コルテック問題にこれまで尽力してくださった方々に感謝する。整理解雇に苦しむ労働者がこの地でこれ以上生まれないことを願う」と述べた。

チョ・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/891050.html韓国語原文入力:2019-04-22 20:36
訳H.J

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