冬の風が肌に冷たい7日早朝、ソウル光化門(クァンファムン)広場の文化芸術人キャンプ村に演劇人とキャンプ村の住民70余名とともに、コルトコルテック・柳成(ユソン)企業・キリュン電子などの解雇労働者が集まった。午前7時から午後5時までトンカントンカン! 10時間の大変な作業が終わった。李舜臣(イ・スンシン)銅像の後ろに新たに天幕劇場がそびえ立った。間口8メートル、奥行18メートル、高さ 5.5メートルの鉄骨構造物全体が濃い緑色の天幕で覆われた。
朴槿恵(パク・クネ)政権のブラックリストに対抗して文化芸術界が作った「広場劇場ブラックテント」だ。朴槿恵政権が退陣するまで運営する臨時公共劇場である。政権の顔色を伺う公共劇場が努めて無視したセウォル号問題はもちろん、同時代の生と苦痛をそっくりそのまま作品に盛り込もうという意気込みだ。
天幕劇場は朴槿恵大統領にとっては「天幕のブーメラン」だ。 2004年ハンナラ党は不法大統領選挙資金問題で明るみに出た「車ごと党」(訳注:当時ハンナラ党が不法選挙資金を現金を積んだトラックごと受け取ったためこう呼ばれた)の汚名をそそぐために、朴槿恵当時党代表の主導で天幕の党本部をつくって反省する姿を見せた。しかし「政治ショー」だという解釈が支配的だった。天幕劇場は「天幕で成功した朴大統領」が芸術を踏みにじったことに対する風刺的抵抗だ。広場劇場運営委員会は天幕劇場を建てた理由について「文化芸術界のブラックリストに象徴される表現の自由抑圧に抵抗するため」と明らかにした。朴槿恵政権は大統領府主導でブラックリストを作成し、現場の芸術家に対する支援金排除など各種の不利益を与えた。セウォル号を連想させるという理由で公共劇場の責任者が観客の目の前で公演を中断させる事態まで発生した。
さらに広場劇場運営委は「韓国の公共劇場がほとんど横を向いてきたセウォル号の犠牲者、日本軍慰安婦を含めた各種国家犯罪の被害者や解雇労働者を含め資本の迫害を受けてきた人々の声に耳を傾ける」と強調した。
10日午後4時の開館式に続いて、13日午後8時には開館記念公演を開く。演劇人を主軸にした広場劇場運営委が主管し、「劇団くじら」のイ・ヘソン代表が劇場長を務める。10日の公式開館後には連続で3つの演劇と9つのパントマイムを公演する。天幕劇場「広場劇場ブラックテント」の舞台に上がる作品は既に作品性が検証された作品だ。16日から来月初めまで公演日程がぎっしり詰まっている。
まず、最初の公式作品はブラックテントのイ・ヘソン劇場長が作・演出した劇団くじらの『赤い詩』(16~20日)だ。冥土の使者のミスでお婆さんの代わりにあの世に先に逝った日刊新聞記者トンジュが、日帝強占期に“慰安婦”として連れて行かれたハルモニ(お婆さん)の人生、自らの人生、死んだ女優の人生を振り返りながら、韓国の歴史の中で回り回って繰り返される暴力の傷あとと根本的な原因を探求する作品だ。
次に「416家族劇団黄色いリボン」がオ・セヒョク作、キム・テヒョン演出で『彼と彼女の洋服ダンス』(23~24日)を公演する。セウォル号家族が市民の慰めに応え、逆に市民を慰めるために準備した演劇で、服に込められた人生の話と細やかな情を通して忘れていた人生の温もりを伝える作品だ。次いで、ユ・ジンギュ、キム・ジソンなどが出演するパントマイム 公演 9つが25~27日に広場劇場ブラックテントの舞台に上がる。
何よりも、去年最高の話題作となったキム・ジェヨプ作・演出の『検閲言語の政治学:二つの国民』にまた会える良い機会だ。劇団「ドリームプレイ テーゼ21」が31日から2月3日まで公演するこの作品は「検閲事態であらわれた検閲主体の言語を社会言語学的な観点から覗いてみて、検閲言語が私たちにどんな暴力を加えているかを観察する」。公演はすべて無料であり、観覧後に感動後払い制で可能な範囲の後援金を出せばよい。 問い合わせは広場劇場ブラックテント(facebook.com/theaterblack)。.
韓国語原文入力: 2017-01-08 11:50