日本の福島周辺の水産物の輸入をめぐって日本と貿易紛争中の韓国政府が、これら水産物の放射能の危険性を証明する基本報告書も用意せず、世界貿易機関(WTO)訴訟に対応してきたことが明らかになった。1審で敗訴した韓国政府は、12日に開かれる2審でもやはり敗訴する可能性が高いものと予想される。
世界貿易機関は今年12日午前(韓国時間)、日本政府が提訴した韓国政府の福島水産物輸入禁止措置に対する最終判定結果報告書を公開する予定だ。これに先立ち、韓国の食品医薬品安全処(食薬処)は、2013年9月「日本の福島県を含む近隣8県の28魚種の水産物の輸入を禁止する臨時特別措置」を施行した。これに対して日本政府は2015年5月、世界貿易機関に韓国を提訴し、この4年間貿易紛争が続いてきた。日本政府は日本の水産物の輸入を制限する51カ国のうち、特に韓国だけを提訴した。昨年2月の1審の判定では、韓国が敗訴した。
これまで韓国政府は、日本政府との貿易紛争後、消極的な対応で一貫してきた。まず、世界貿易機関に証拠資料として提出する報告書すら作成しなかった。政府は日本の提訴前の2014年、日本の放射能リスクと関連した報告書を作る目的で「日本の放射能安全管理民間専門委員会」を立ち上げた。民間委は同年12月と2015年1月、二回にわたって日本の現地調査まで終えたが、日本の提訴後、活動を中断した。さらに、同委員会は二回の現地調査に対する結果報告書も作成しなかった。
これと関連して、世界貿易機関は1審の判定で「韓国政府がなぜ最終手続き(報告書の作成)を中断したのか、その理由をきちんと説明できなかった」と指摘するほどだった。しかし、昨年の1審敗訴後も韓国政府は何の後続措置もしていない。
関連する政府機関も根拠資料を作成していない。例えば、日本から輸入した農水畜産物の放射能数値を検査する食薬処は、日本産食品の放射能濃度に関する分析報告書も作成していない。福島近隣の環境をモニタリングする原子力安全委員会も、訴訟の対応論理として使えるだけの分析資料は何も提出していない。原安委は、事故が発生した東京電力の内側と、近隣の大気中の放射能の数値だけを調査しただけで、土壌や海水汚染は調査しなかった。
これと関連し、市民放射能監視センターと環境運動連合が2日、日本の厚生労働省の農水畜産物、放射性物質の検査結果の資料を分析して発表した報告書によると、輸入が禁止された地域の水産物の放射性物質のセシウム検出率は7.3%で、残りの地域(0.8%)より9.1倍高かった。市民放射能監視センター活動家のチェ・ギョンスク氏は「福島事故後にも土壌と水の放射能汚染は変わりないが、政府は公開された資料を分析した報告書すら作らず訴訟に臨んだ。敗訴したら15カ月間日本と交渉しなければならないのに、何の対策もなく交渉テーブルに座ることになる状況」だと指摘した。
通商専門家のソン・ギホ弁護士も「朴槿恵(パク・クネ)政府時代の現地調査は深層水と海底土を除いた不十分な調査だったが、これに対する報告書さえ作成しなかった。この調査結果を公開し、海底土と深層水を含む調査を再び行う必要がある」と強調した。
これと関連して9日、食薬処はハンギョレに「日本政府が発表した農水畜産物の放射能資料を基にした内部報告書があるが、訴訟段階であり、これまで公開しなかった。訴訟結果が出ればすべて公開できる」と明らかにした。