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韓国政府、福島の水産物輸入禁止を維持するためWTOに上訴

登録:2018-04-10 06:03 修正:2018-04-10 13:07
「国民の食の安全考慮してWTOへの上訴を決定」 
WTO、昨年「韓国がSPS協定違反」判定
ソウル光化門広場で市民たちが日本の水産物の輸入反対と団体給食に対する放射能基準値を新たに設けることを要求している=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 政府が日本の福島原子力発電所周辺地域の水産物輸入規制措置を維持するため、世界貿易機関(WTO)に上訴を提起した。世界貿易機関の紛争処理小委員会(パネル)が韓国政府の福島周辺8県の水産物28種に対する包括的な輸入禁止など処置の維持を「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(以下SPS協定)」違反と判定したことを覆すためだ。

 9日(ジュネーブ現地時間)、政府は「日本の原発状況が続いており、国民の食の安全の重要性などを考慮すると、パネルの判定には問題がある」とし、世界貿易機関の紛争解決手続きに則って上訴を提起したと明らかにした。放射能汚染水の流出による懸念が払拭されていないだけに、輸入禁止の約定を維持するのは国民の安全のための正当な処置ということだ。政府は上訴の提起から3カ月以内に最終判定を下すべきという関連規定とは異なり、最近一部上訴委員の不在により、事件が滞っているため、通常よりも時間がかかるものと見ている。

 韓国政府は2011年3月と2013年9月の2回にわたり福島周辺地域の水産物に対する輸入禁止などの臨時特別措置を下しており、これまで輸入禁止は続いている。これに対し、日本は2015年世界貿易機関に「SPS協定を違反する差別的な輸入禁止」だとして提訴し、世界貿易機関の紛争処理小委員会は今年2月22日、韓国敗訴理由を整理した1審の判定報告書を発表した。

 同報告書によると、世界貿易機関は韓国がSPS協定「5.7条」を違反したと判断した。5.7条は、臨時特別措置で輸入制限措置を取った国はその後、輸入規制を持続すべき追加情報や根拠を提示し、消費者の安全危険を再評価する十分な努力を傾けなければならないと定めている。紛争処理小委員会は韓国が臨時特別処置の後に輸入規制を維持する十分な努力を傾けなかったと判断した。

 特に、韓国食品医薬安全処が2014年「日本の放射能安全管理民間専門委員会」を構成し、安全性の調査をしている途中、日本の提訴直後の2015年6月、突然活動の中止を宣言した点が敗訴判断に決定的影響を及ぼしたと見られている。政府が当時の米日主導の環太平洋経済パートナーシップ協定(TPP)に加入するため、日本の顔色を窺ったという指摘も多かった。通商分野の専門家であり、民主社会のための弁護士会所属の弁護士であるソン・ギホ共に民主党松坡乙地域委員長は「朴槿恵(パク・クネ)政権時代に進めて中断した安全評価結果を公開すべき」だとし、「これをもとに輸入禁止が正当であることを世界貿易機関で示し、堂々と対応しなければならない」と話した。

 これに対して産業部の関係者は「日本は提訴当時、5.7条は言及せず協定2.3条(日本産と他の国の食品が同様に低い汚染水準を示しているのに、日本産だけを輸入禁止するのは差別)違反などを主に取り上げた」とし、「当時の民間専門委員会の評価結果を今公開するのは紛争に大きな影響を及ぼさない」と話した。

チェ・ハヤン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/839798.html韓国語原文入力:2018-04-09 21:12
訳H.J

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