朴正煕(パク・チョンヒ)政権時代におけるスパイ捏造事件の被害者を描いた映画「スパイネーション/自白」(原題「自白」)のキム・スンヒョ氏が、国家から8億ウォン(約7800万円)の刑事補償金を受け取ることになった。
ソウル高裁刑事6部(裁判長オ・ソクジュン)は4日、スパイ未遂容疑の再審で無罪判断を受けたキム・スンヒョ氏に、国家が合計8億1100万ウォン(約7950万円)の刑事補償金を支給すべきだと決定した。
裁判所は、過去7年間の拘禁によるキム氏の被害に対し、拘禁期間や財産上の損失、精神的苦痛などを考慮し、8億179万ウォン(約7860万円)の刑事補償金を策定した。再審を進めるためにかかった刑事訴訟費用については、950万ウォン(約90万円)の刑事補償金を策定した。
在日同胞でソウル大学で留学していたキム氏は1974年、中央情報部捜査官に突然連れて行かれた。過酷行為を受けたキム氏は、スパイだと自白した。翌年、最高裁判所は国家保安法違反や反共法違反、スパイ未遂容疑についてすべて有罪と判断し、懲役12年を言い渡した。キム氏は、1981年8月に釈放されたが、拷問の後遺症で、精神病院を転々としなければならなかった。
裁判所は昨年6月、「拘束令状なしに不法拘禁された状態で捜査を受けた。再審の事由がある」と再審を決めた。同年8月、裁判所はキム氏に対し無罪判断を下した。当時、裁判所は「被告が警察と検察で作成した調書は、刑事訴訟法が定めた逮捕や拘束手続きに反した長期間にわたる不法拘禁状態で作られ、任意性がない。被告人の容疑が合理的疑いの余地なく証明されたと見ることはできない」と説明した。