2017年に起きた規模5.4の浦項(ポハン)地震が、自然現象なのか地熱発電という人為的原因によるものなのかという論争に終止符が打たれた。浦項地震政府調査研究団は20日、浦項地震と地熱発電の関連性に関する報告書を通じて「浦項地熱発電研究活動中に地熱井を掘削し水を注入・排出する過程で、断層において微小地震が誘発(誘発地震)され、時間の経過により結果的に浦項地震が触発された」と結論を下した。
浦項地震は、2017年11月15日に発生し1人が死亡、117人が負傷する人命被害を出し、建物2700棟余りが損傷するなど財産損失の規模も850億ウォン(約85億円)に達した。浦項地震が発生した原因として、浦項市興海邑(フンヘウプ)の浦項地熱発電実証研究施設の活動が指摘され、政府は昨年3月に国内外の専門家で浦項地震調査研究団を構成し、調査分析作業を始めてきた。
政府調査研究団が、地熱発電が浦項地震を触発した原因と指定したのは、地熱発電活動で誘発された微小地震が起きた平面と浦項地震を起こした断層面解が一致するという事実が決定的な根拠になった。イ・ガングン政府調査研究団団長(ソウル大学教授)は「研究チームが最も尽力したのが震源の位置決定だ。浦項地震が地熱発電の地熱井から数キロメートル以上離れていれば解釈が変わりうるため」と話した。研究団は、2009年1月1日以後に浦項地域で発生した520回の地震のうち、地熱発電実証研究敷地から震央までの距離が5キロメートル以内、震源の深さが10キロメートル以内の98回を対象に精密地震位置分析をした。その結果、2本目の地熱井(PX-2)から水を注入して誘発された微小地震がほとんど平面に近い分布様相を見せ、さらにこの平面が浦項地震本震の断層面解の走向と傾斜がほぼ一致していることを明らかにした。
浦項地熱発電実証研究は、2010年12月に始まり、二本の地熱井をボーリングして2016年1月から2017年9月28日まで5回にわたり1万2800余立方メートルの水を注入し、7000立方メートルの水を取り出す水理作業をした。この期間に数十回の微小地震が発生した。3回目の水注入が終わった2017年4月15日には、最も大きい規模3.2の地震が起きた。
政府調査研究団の海外調査委員会委員長を務める米国コロラド大学のShemin Ge教授は、浦項地震を誘発(induced)地震ではない触発(triggerd)地震と表現したことに対して「誘発地震は水の注入による圧力と応力の変化で岩石の空間的範囲内で起きる地震、触発地震は人為的影響が最初の原因だが、その影響で刺激を受けた空間的範囲を大きく外れた規模の地震と定義した」と説明した。浦項地震は、誘発地震の範囲を越えているが、自然地震と区別するために触発地震という用語を使ったという話だ。
研究団は、浦項地震が触発地震であることを示す証拠が、地震発生後にも確認されると明らかにした。一本目の地熱井(PX-1)は地下約4100メートルまで映像撮影が可能な反面、2本目の地熱井(PX-2)は3800メートル付近で詰まっていた。浦項地震の断層面を延長すれば、この深度と一致する。浦項地震でボーリング孔が破裂したという解釈だ。この地熱井で急激に水位が低下して地下水の化学的特性が変わったのも、浦項地震が触発地震であることを裏付けると研究団は明らかにした。
イ・ガングン教授は「2011年の東日本地震と2016年の慶州(キョンジュ)地震などが浦項地震の断層に加えた応力を計算してみたところ、浦項地震の断層を動かすほどの応力が蓄積されないという結論が出た」として「臨界応力状態の断層を変化させれば危険度が増加するということが証明されただけに、地熱発電のリスク管理方法に別のアプローチが必要だ」と話した。