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震源地からわずか600メートルの距離…浦項地震の原因は地熱発電所なのか?

登録:2017-11-25 05:27 修正:2017-11-25 08:19
「地下水の注入が地震を誘発」という問題提起に 
「事前微小地震ほとんど起きておらず 
水の注入量や地中に残った水も少なく 
最後の水注入から2カ月後に発生」との反論も
浦項の地熱発電所//ハンギョレ新聞社

 地質・地震学者らは、浦項(ポハン)地震が地熱発電所の影響を受けて発生した蓋然性はあるものの、実際に地震を引き起こした原因であることが確認される可能性は高くないと分析している。

 大韓地質学会などの地質・地震学分野の4つの学会が24日、ソウル中区(チュング)の韓国言論会館で開いた「浦項地震に関する緊急フォーラム」で、高麗大学地球環境科学科のイ・ジンハン教授は「流体(水)を土中に注入すると、断層の摩擦力が低くなって動くようになり、すでに応力が作用している地域で大きな地震を誘発する可能性もある。外国で類似の事例が報告されてきた」と話した。米国のオクラホマで石油・ガス生産のために地下に注入した水が2011年にマグニチュード5.6の地震を引き起こしたのは、誘発地震の代表的事例として引用されている。イ教授は「ただし、科学的なモデルは確認過程が必要である。水の注入による誘発地震は注入した量よりは注入速度との相関性が高い」と付け加えた。

浦項地震の本震(赤色)と余震(黄色)の分布=地質資源研究院提供//ハンギョレ新聞社

 釜山大学地質環境科学科のキム・グァンヒ教授は「浦項地震の震源と地熱発電所は600メートル離れている。慶州(キョンジュ)震災以降、慶州やその周辺地域で微小地震を観測してきた結果、地熱発電所が土の中に水を注入した2016年1月29日から今年9月18日までの時期とこれまで発生した微小地震の間に関連性があるものと分析された」と話した。キム教授は「ただし、現在までに発表された資料によると、浦項地震が地熱発電との関連性を示す要素があるのは事実だが、注入した水の量や注入速度など疑問点を解消するにはさらなる分析が必要だ」と付け加えた。

 延世大学地球システム科学科のホン・テギョン教授は「浦項地熱発電所の水の注入量が少ないという事実と事前に微小地震があまり発生しなかった点などから、浦項地震が地熱発電所によって発生したと見るのは難しい」と話した。浦項地熱発電所は2016年から4~5回にわたって1万2千トンの水を注入して再び取り出しており、現在5千トン程度が残っている状態だ。これに比べ、米オクラホマは2千万トンの水を数百箇所の試錐孔に注入しており、マグニチュード3.0以上の地震が年間1回程度発生していたところが、現在は年間900回以上発生する地域に変わった。地質学者たちは、オクラホマの場合、水を地中に閉じ込めておく方式である反面、浦項地熱発電所は注入と排出が同時に行われるシステムであり、環境が異なると指摘している。

 忠南大学地質環境科学科のチャン・チャンドン教授は「地熱発電を開発する際、地震が誘発されることはよく知られており、普通は大きな地震が発生しないように統制する。浦項の場合、水を最後に注入してから2カ月後に発生しており、果たして地熱発電が原因なのかは疑問だ」と話した。

 ソウル大学地球環境科学部のイ・ジュンギ教授も「地震波を発生させる現象を力の組み合わせで表すモーメントテンソルを分析してみると、浦項地震は一般的な地震と異なり、複雑な断層面で発生した地震である可能性がある。しかし、高圧流体の影響を受けた可能性は低いとみられる」と話した。

イ・グニョン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/820563.html韓国語原文入力:2017-11-24 21:07
訳H.J

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