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浦項地震の被害が慶州地震より大きい5つの理由

登録:2017-11-17 23:46 修正:2017-11-18 08:36
浦項地震の威力は慶州の1/4なのに 
負傷者数は77 vs 23で3倍、なぜ?

1)人口密集地域
2)逆断層地震
3)浅いところで発生
4)中低周波振動発達
5)軟弱な堆積岩層

慶州地震の震央(赤矢印)慶州市内南面(左)と浦項地震の震央(浦項市興海邑)//ハンギョレ新聞社

 浦項(ポハン)地震は、その威力が慶州(キョンジュ)地震に比べはるかに小さいにもかかわらず、負傷者数など被害は慶州よりはるかに大きいと集計されている。なぜ浦項の被害が慶州より大きくなったのだろうか。

 15日に発生した浦項地震は、マグニチュードが5.4だ。マグニチュード5.8の慶州地震に比べて、規模は単純数値では0.4小さいだけだが、エネルギー量に換算すれば3.98倍の差異がある。地震の規模は、震源地から100キロメートル離れた地点で地震計により測定された最大振幅の値により決まる。この時、物理量を手軽に表示するために対数関数を使う。振幅が10倍増える毎に規模の値は1.0ずつ増えることになる。規模が1.0増えれば、エネルギーは10の1.5乗、すなわち32倍に増える。だが、規模5.8と5.4の差の0.4を、そのまま32倍して12倍としてはならない。地震の威力、すなわち総エネルギー量(E)と地震の規模(M)の間には、logE=1.5M+C(定数)という公式が成立する。ここに代入してみれば、二つの地震の対数には0.6の差異が生じ、10の0.6乗すなわち約3.98という数値が出てくる。慶州地震は浦項地震に比べて威力が4倍程度になるわけだ。

 しかし、慶州地震による人身被害は負傷者数23人であったのに比べ、浦項地震の負傷者数は17日現在で既に3倍を越す77人と集計されている。慶州地震の財産被害は、二日間で1115件が申告されたが、浦項では1300件余りが申告された。浦項の文化財被害もこの日現在で23件が確認された。

 浦項地震の方が慶州地震より人身・財産被害が多く発生した最大の理由は、人口密集度に求めることができる。慶州地震の震央地である慶州市内南面(ネナムミョン)は、122平方キロメートルの面積に5181人が暮らす農村地域だ。一方、浦項地震の震央地である浦項市興海邑(フンヘウプ)は、105平方キロメートルの面積に人口3万5千人が集まって暮らす小都市だ。震央地が韓東大学などがある町から遠くないところであったという点が被害を増やした第一の要因だ。

 2番目の理由は、慶州地震は走向移動断層運動だったのに対し、浦項地震は逆断層だったという点だ。韓国地質資源研究院(地資研)は、浦項地震分析報告書で「浦項地震の本震の断層面形態は、北北東方向の逆断層性走向移動断層と分析される」と明らかにした。気象庁は慶州地震の詳細分析で「地震資料を利用した断層面分析の結果、典型的な走向移動断層の特性を示すと解釈される」と明らかにした。走向移動断層は、断層面に沿って断層と平行な方向に水平移動する断層をいう。逆断層とは、一方の地盤(上盤)が他方の地盤(下盤)に乗りあげるパターンだ。イ・ヨンス地資研責任研究員は「走向断層運動は、南北方向で互いに交錯し、一方は北に、他方は南に移動する水平成分の強い運動であり、逆断層運動は一方が他方に乗って起きる垂直成分の強い運動だ。逆断層運動は簡単に言えば、持ち上げて下ろす運動があったということで、走向移動断層運動に比べて建築学的な耐力が変わる」と話した。

 慶州と差異が生じる3番目の理由は、震源の深さにある。慶州地震は地表面から15キロメートル内外の深さで発生したのに対し、浦項地震はこれよりはるかに浅い9キロメートルの深さで発生した。慶州の時は、震央地ですら地表に大きな破壊が発見されない程に直接被害がなかった。地資研は「浦項地震は慶州地震より浅い深度で発生したために、規模が小さいにも関わらず相対的に地表面付近の振動が強く現れた」と明らかにした。

 また、慶州地震の時は、強震の持続時間が1~2秒と短くて、高周波振動が発達したのに比べ、浦項地震では中低周波振動が発達した。地震の被害は低周波振動の方が大きくなる。浦項地震は断層運動(滑り)の速度が相対的に遅かったということを意味し、被害を与える時間が長く続いたことを意味する。

 最後に慶州と浦項の地質構造の違いだ。慶州地域は花こう岩など比較的頑丈な岩盤である反面、浦項は堆積岩層だ。浦項地域は1730万~1200万年前の新生代3期(中新世)に東海に沈み形成された海成堆積層が分布している。この地層は、岩片を手で強く押せば砕けるほどに強度が弱い。特に堆積岩層では地震波の増幅が発生する可能性がある。地資研は「浦項市興海邑は、堆積層が相対的に発達した地域なので、構造物の損傷など地震被害が集中した」と説明した。

 軟弱層による地震波の増幅は大きな被害につながりもする。メキシコの西海岸で1985年9月19日にマグニチュード8.1の地震が発生した時、320キロメートル離れたメキシコシティで1万人余りが死亡し約3万人が負傷する大きな被害が発生したのは、湖を埋めて作ったメキシコシティ地下の軟弱層で地震波が増幅されたためだ。

イ・グンヨン、オ・チョルウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/819533.html 韓国語原文入力:2017-11-17 20:28
訳J.S(2225字)

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