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「無能な同盟」は重荷である【寄稿】

登録:2026-05-23 02:30 修正:2026-05-23 08:38
キム・ジョンデ|元正義党議員
今月11日(現地時間)、イランのテヘラン。米軍の艦艇がイランのミサイル攻撃を受けて破壊される様子を描いた反米宣伝壁画=WANA/ロイター・聯合ニュース

 ホルムズ海峡は今や事実上、イラン革命防衛隊の統制下に入っている。米国は2つの空母打撃群と16隻の艦艇という圧倒的な武力を投入したが、イランが宣言した肝心の統制線の内側には進めておらず、オマーン湾一帯の遠海にとどまっている。海峡を強制的に開放しようとした5月初めの「解放プロジェクト(プロジェクト・フリーダム)」は、二日と持たずに中止された。中国の商船とタンカーの行く手を阻むために投入された米軍第31海兵遠征部隊所属の強襲揚陸艦トリポリは、アラビア海のパキスタン近くの海域へと力なく後退した。

 さらに深刻なのは、米軍が野心的に準備してきた現代戦パラダイムの破算だ。イランとの戦争の主体である米中央軍のブラッド・クーパー大将は、バーレーンの米第5艦隊司令官時代に人工知能(AI)と無人センサーを組み合わせたいわゆる「TF-59(第59任務部隊)」を発足させて注目を浴びた人物だ。デジタルセンサーネットワークと有人・無人の複合システムによって、低コストで圧倒的な「海洋状況把握(MDA)」力を確保するという、科学的な新概念だった。しかし、実際にイランとの実戦が始まると、この華やかなデジタル安全保障論は、イランの沿岸砲や巡航ミサイル、そして低コストのドローンによる濃密な攻撃によって海域の主導権を完全に奪われてしまった。巨大な米軍の空母や駆逐艦は沿岸に接近すらできずに遠海へと追いやられ、海上封鎖任務は疲弊した空母打撃群に代わってF-35戦闘機と攻撃ヘリがなんとか担うという異常な構造が固定化している。

 本末の転倒した先端技術の逆説である。戦争初期にイランに大規模な空爆をおこなった米空母や湾岸地域の米軍基地は、今や逆にイラン革命防衛隊の精密攻撃の巨大な標的に成り下がっている。米軍があれほど誇っていたデジタル海洋システムと認識能力はどこに消えてしまったのか。大型の空母や駆逐艦は、遠海で威容を誇示してみたところで、沿岸戦闘に不可欠な肝心の機雷除去能力がない。イランのアメンボのような高速の小型船団を制圧しうる沿岸戦闘艦や水中ドローンは、見かけることすらほぼない。数十億ドルする米軍の大型艦艇が安価なイランのドローンから自らを完璧に守れるのかすら疑われている。この戦争以降、果たして米国の空母打撃群は中国の接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略を突破しうる戦力なのかをめぐり、論争が過熱するだろう。まさに、第2次世界大戦後に神話となった「空母の時代」が終わりを迎えようとしていることを告げるシグナルだ。単にイランとの戦争が問題なのではない。米軍の海洋覇権能力そのものが疑問視されることになるだろう。

 米海軍大学院のジョン・アキーラDPの最新の著作『The Troubled American Way of War(故障した米国の戦争遂行方法)』は、戦争に対する米軍の戦略文化そのものが失敗の根源だと指摘している。本書で同氏は、米国の第2次世界大戦以降の「戦略爆撃の盲信」による空中戦力への過剰投資、「核抑止力に対する信奉」による核戦争での勝利への執着、ハードウェア的な戦力の単純比較にもとづいた戦争計画の立案を問題視している。とりわけ、高い技術力を要する高価な兵器システムのみに執着するあまり、現代戦の要となっている柔軟性と革新能力を失ったことを痛烈に批判している。アフガニスタンとイラクでかろうじて成果を上げた現地化した戦力や特殊部隊は米国の国防費の5%にも満たず、周辺へと追いやられている。代わって戦争を終わらせられない空中戦力による大量爆撃に執着するようになっており、それは最近さらに悪化して不治の病となっている。ホルムズ海峡で米軍が直面しているジレンマは、まさにそのような構造の上にある。

 この戦争で韓国に突きつけられた安全保障上の課題は重大だ。韓国は、米軍との連合作戦に無条件の優越性があるという幻想に、これ以上埋没していてはならない。米軍はもはや仁川(インチョン)上陸作戦や洛東江(ナクトンガン)戦闘のような地上戦、または特殊戦が遂行できない。大型兵器プラットフォームに安住し、大量爆撃を信奉する軍産複合体の視点でのみ動く。アキーラ氏が語った最近のウクライナの苦戦の理由も衝撃的だ。ウクライナは戦争初期にドローンとジャベリン対戦車ミサイルで展開していたゲリラ戦の優れた長所を保てず、ある時点で米軍の大型兵器に依存する正規戦へと突き進んだことで、苦戦することになった。盲目的な「同盟依存症」に加えて大型兵器の誘惑に負けた結果だ。このような知的怠慢によって、大韓民国がもう一つの安全保障失敗国になってしまうわけにはいかない。

//ハンギョレ新聞社

キム・ジョンデ|元正義党議員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1259858.html韓国語原文入力:2026-05-21 18:52
訳D.K

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