「ビニールハウス、安宿、考試院、コンテナなど非公式の居所または適正水準に満たない住宅に居住する世帯は2015年に39万4000世帯に急増した。こうした非住居地の住まいは狭く過密で、洪水や火災に弱く、適切な室内衛生施設がないため、特に女性を危険にさらす」。レイラニ・ファルハ国連住居権特別報告官が、韓国の住居実態を書いて作成した「韓国訪問報告書」が国連人権理事会で公式文書に採択された。ファルハ特別報告官は、韓国の住居権の実態を確認するため、昨年5月に韓国を訪問した。
「住居権実現のための韓国NGOの会」が12日、ソウル市鍾路区(チョンノグ)の参与連帯アルムドゥリホールで紹介した報告書には、非公式の住居(考試院・安宿など)▽都市再開発・再建築▽ホームレス・若者・貧民層の住居実態など韓国の住居福祉に関する懸案が集中的に分析された。
まず、ファルハ特別補佐官は、韓国の住居脆弱層が滞在している非公式住居に注目した。同報告書でファルハ特別報告官は「考試院は当初は学生たちの臨時宿舎として建設されたが、今は失業または引退した高齢者が大部分である低所得層のための宿所として使われている」とし、「考試院は狭く基準以下の居住条件しか備えていないにもかかわらず、賃貸料が驚くほど高い」と指摘した。また、貧しい人々の最後の居所である安宿は狭い空間と火災の危険などにさらされているが、修理すら要求できない状況だと言及した。
ファルハ特別報告官は続いて「韓国政府の当局者たちは、考試院、安宿屋、ビニールハウスなど非公式の居所が国際人権法上適正住居基準に符合しないという点を認識している」とし、「不適切な生活環境と安全施設すらない住居地の問題を至急解決しなければならない」と強調した。同報告書は昨年11月、7人が死亡した国日考試院の火災の惨事に触れ、適正住居に対する計画を立てていない韓国政府に対して懸念の意を示した。
ファルハ特別報告官は、都市再開発と再建築の過程で行われる暴力的な強制撤去などについても憂慮の声を上げた。報告書は「強制退去は住居権を総体的に侵害する行為であり、絶対に発生してはならない」という基本原則を強調し、「韓国の再開発および再建築に関連した法律体系、政策、実行において国際人権基準を徹底的に遵守しなければならない」と指摘した。ファルハ特別報告官は韓国訪問期間中、実際にソウル阿ヒョン洞(アヒョンドン)の撤去現場を訪れたこともあった。この日報告書を紹介したNGOの会は「住居権実現のために勧告を履行できていないのは、政府が強い意志を示していないため」だとし、「住居給与の現実化など、普遍的な住居権保障のための制度改善に乗り出さなければならない」と強調した。