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[寄稿]住居価格暴騰、青年とろうそく市民は絶望している

登録:2018-09-11 23:02 修正:2018-09-12 07:45
キム・ドンチュン聖公会大学NGO大学院長//ハンギョレ新聞社

 住居問題は、国土部や経済官僚だけの専門領域ではない。それは正義と公正、不平等解消、庶民の基本権保障原則を総括的に考慮しなければならない国民的事案だ。土地を商品だと主張する“経済”専門家に屈服すれば、庶民の住居権保障は空念仏になる。

 大混乱だ。バスの中で大学生が不動産を語る。今、ソウルのマンション価格の暴騰は、極度に深刻な韓国の不平等を一層拡大し固定化するだろう。平凡な中産層も投機戦争に巻き込まれ、大多数の人は被害意識と剥奪感に悔しがる。汗と努力の価値が無意味になり、青年は結婚・出産計画を完全にあきらめるかもしれない。政府に対する信頼はさらに落ちて、南北和解はもちろん、将来のすべての経済社会政策の効果が失われるかもしれない。

 文在寅(ムン・ジェイン)政府は、開発独裁と新自由主義の積弊が幾重にも積み上げられた条件から始まった。それは、脆弱な公共領域、低い税率、低福祉に集約される。成長主義、市場主義がほとんど教祖化されていて、福祉同盟はきわめて脆弱だ。国民の基本権に属する住居と教育の市場依存度がとても高く、社会政策の選択の幅があまりに狭い。こうした条件の下で執権勢力が“票”を意識すれば、組織されない多くの庶民より経済力を持っている少数の中産層の利害に歩み寄りやすい。

 住居権は生存権の一部だ。人が生存するために必要な住宅は、単純な“不動産”ではなく、投資の対象にしてはならないのに、韓国の都市再開発関連法や歴代政府の住宅政策は中産層の資産形成という目標を掲げたが、実際には土建勢力の利益を保障し、賃貸住宅の拡大などを通した庶民の住居保障は常に後順位に押しだされた。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府も庶民の住居安定という理想は掲げたが、結果は経済再生、徴税への抵抗、建設景気活性化などの名分で押し出された。その結果、低い財産税、3住宅以上を保有する世帯への譲渡税賦課延期、分譲価格の原価公開拒否に旋回し、統計を見れば二つの民主政府下で住居価格は最も激しく暴騰した。

 もちろん、文在寅政府の国政5カ年計画には「庶民が安心して暮らせる住居保障」の内容が含まれている。文在寅大統領は「土地に対する投機による社会的不平等の深刻化問題を解消」するとして、土地公共概念を憲法に明示すると発表もした。しかし、実際の政策は多住宅保有者らの“財産権”を保障する、きわめて形式的な“保有税引き上げ”となって現れた。この信号を読んだ金持ちはいち早く動いた。「土地公共概念」と「土地一介商品」論を行ったり来たりした盧武鉉政府が、結局は板橋(パンギョ)開発に乗り出して少数の人々に宝くじをプレゼントしたことが思い出される。

 住居問題は、国土部や経済官僚だけの専門領域ではない。少子化問題がそうであるように、福祉、教育、分権、労働、租税などすべての社会経済的事案は互いに絡まっている。それは正義と公正、不平等解消、庶民の基本権保障原則を総括的に考慮しなければならない国民的事案だ。社会政策を経済論理と分離して、社会統合、信頼回復という大きな目標の下で総合的に推進しなければ、必ず市場論理に振り回されることになる。土地は商品だと主張する“経済”専門家に屈服すれば、庶民の住居権保障は空念仏になる。

 文在寅政府の住宅政策の混乱は、教育政策の混線とまったくよく似ている。不動産政策が住宅政策なのではなく、入試政策が教育政策なのではないという点を忘れている。すなわち、教育に対する明確な政策目標が何かを示せなかった。前回、企画財政部が大統領の公約である公営型私立大学関連予算を全額削減したことは、企財部の市場主義、教育部の説得力不足が原因のようだが、文在寅政府に大学改革に対する青写真がなかったことがさらに重要な理由だっただろう。

 すべての人を満足させる社会経済政策はない。衝突する様々な勢力の利害を調節するには、大きな絵をもって利害集団を説得しなければならない。しかし、誠実に働いて老後に備えようとする社会の多数者を安らかにさせることは、国家の基本任務だ。投機は実のところ政府が助長したと言える。江南(カンナム)地域をコンクリートで覆い尽くしても、投機的需要を満たすことはできない。

 朝鮮半島の平和の道が希望に満ちて開かれている今、政府がその動力を失ってはならない。最初のボタンは掛け違えたが、まだ時間は残っている。庶民の住居権保障、租税の正義、土地不当利得の還収、そして若者と庶民が人生設計できる国の建設という明確な政策目標を提示して、段階的で具体的な接近法を提示しなければならない。ろうそく市民と若者が、暴騰する住居価格のために絶望すれば、その傷と裏切られたという感情を治癒することは不可能になる。

キム・ドンチュン聖公会大NGO大学院長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/861632.html韓国語原文入力:2018-09-11 19:07
訳J.S

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