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[ニュース分析]総合不動産税上げ、融資抑え…急騰する不動産に高強度の処方

登録:2018-09-14 07:42 修正:2018-09-14 08:47
9・13不動産対策  
超高価・多住宅保有者をねらった「ピンセット増税」 
総合不動産税の最高税率「2.0→3.2%」に 
二住宅以上は規制地域で住宅担保融資を禁止 
投機地域の賃貸事業者にLTV40%
キム・ドンヨン副首相兼企画財政部長官//ハンギョレ新聞社

 政府は住宅価格の急騰したソウルなど43の調整対象地域で、総合不動産税の税率を最高3.2%まで引き上げることにした。二住宅保有者も、他の地域の三住宅以上保有者の水準に重課する一方、課税標準3億~6億ウォン(1住宅時価基準18億~23億ウォン)の一住宅保有者の税負担も増やした。これによって調整地域内で合算時価19億ウォン(約1億8900万円)の住宅を保有した二住宅保有者の場合、総合不動産税が現行の187万ウォンから415万ウォンに増えることになる。

 キム・ドンヨン副首相兼企画財政部長官は13日、政府ソウル庁舎でこのような内容を骨子とした「住宅市場安定対策」を発表した。今回の対策は、総合不動産税の大幅な引き上げとともに非居住用住宅の住宅担保融資を禁止する案が核心だ。議論が多かった賃貸住宅事業者に対しては税制優遇を縮小することにした。

 住宅価格が急騰した過熱地域である調整対象地域の総合不動産税の税率を大きく高め、税負担の上限線を前年比300%まで引き上げたのは予想を超えるレベルだ。これは「保有税を不動産対策に使うのは適切ではない」という政府の従来の方針から外れたものと思われる。これは党・政・大統領府が最近の不動産市場の状況が深刻だという共通の認識をもったことによるもので、一方では文在寅(ムン・ジェイン)政権内部にある盧武鉉政権の「総合不動産税トラウマ」を克服するという意志をほのめかしたものと解釈される。

 専門家の評価はやや分かれている。まず、今回の対策が投機心理をある程度落ち着かせる効果を生む

という評価が出ている。ソウルベンチャー大学院大学のチェ・ミンソプ教授(不動産学科)は「保有税で住宅価格をすぐに抑えるのは難しいが、中間層に広がっていた住宅価格の急騰の不安心理の相当部分を落ち着かせる効果はあるものとみられる。特に、実需要者でない場合住宅担保融資を源泉的に阻止したのは、今後予想される金利の引き上げとともに威力を発揮しうる」と見込んだ。参与連帯は「遅くなったが政府対策が方向を定めた」と評価した。参与連帯はこの日論評を出し、「多住宅保有者の総合不動産税を大幅に強化し、賃貸住宅事業者の税制優遇を縮小したのは、いっそう進展した案だ。これからは賃貸住宅登録制を義務化する一方、土地についても保有税を上げなければならない」と明らかにした。

最近のソウル汝矣島の姿=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 しかし、超高価の一住宅保有者と多住宅保有者の保有税の負担を高める対策では、住宅価格を抑えるのにはまだ限界があるという指摘が出ている。多住宅の有無を問わず、全ての経済主体の不動産不労所得を徹底的に還収しようとする非常の政策の大転換が見えないということだ。住宅富裕層に対する保有税の一部の増税だけでは、最近の政府政策に対する不信と共に、拡散した住宅価格の上昇への期待心理を抑えることが難しそうだいうことだ。建国大学のチェ・ベグン教授(経済学科)は「今回の対策は三住宅以上の多住宅保有者と一部の超高価の一住宅保有者に対していわゆる『ピンセット方式』でアプローチしているが、そのような方式では限界がある。政府としては租税の抵抗に対する政治的負担、不動産市場の硬着陸への懸念もあるだろうが、今はこれを覚悟したショック療法が必要だ」と話した。彼は「譲渡税を100%近く上げて相場差益を原則的にすべて回収するか、保有税を『国土保有税』の水準に大幅に引き上げるなど、画期的な発想の転換が切実だ」と話した。慶北大学のイ・ジョンウ名誉教授は「多住宅保有者への重課に焦点を合わせているため、1、2軒の住宅を持った絶対多数の人たちは抜け落ちてしまい、いわゆる『賢い1軒』という狂風を防ぐには不足だと思われる。不労所得は徹底的に還収するという強い意志と哲学を明らかにしなければならないが、また技術的な発表にとどまった」と批判した。

 住宅価格の安定と不動産市場の正常化に向けては、政府・与党が今回の機会に、3月の大統領府の憲法改正案発表以降中断された土地公概念導入の議論に入らなければならないという指摘も出ている。当時の憲法改正は、国会の廃棄を受け不発に終わったが、土地公概念についてはどのように法律で具体化するのかという論議につながる良い機会だったにもかかわらず、政府・与党が手放して国民の関心外に消えたからだ。ちょうどイ・ヘチャン共に民主党代表が11日、イ・ジェミョン京畿道知事と会い、「最近の住宅価格の急騰の根本的な原因は、土地公概念の実体を作ることができないことによるもの」と強調していたため、今回の不動産対策の延長線で議論を続けるのが望ましいという指摘だ。世宗大学のビョン・チャンフム教授(行政学科)は「過熱地域の住宅に対する今回の総合不動産税の引き上げは、土地公概念の実現の小さな一歩と見ることができる」とし、「土地公概念を不労所得を還収のレベルに狭めず、国民住居権、地域均衡発展などを包括できる原則として議論して発展させなければならない」と話した。

チェ・ジョンフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/property/862063.html韓国語原文入力:2018-09-14 04:59
訳M.C

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