ドナルド・トランプ米大統領が韓国との来年の防衛費分担金交渉で、米軍駐留費用をすべて負担させるうえで、さらに50%を要求するいわゆる「駐留費用+50」公式を掲げる可能性があるという見通しが示された。韓国と米国は8日、防衛費分担金特別協定(SMA)に公式署名したが、協定の有効期間が1年であるため、今年中に協定の改正や延長に向けた交渉を再度行わなければならない。
ワシントン・ポストは9日(現地時間)、「トランプ大統領が同盟諸国から数十億ドルを引き出す新たな案をちらつかせている」という見出しの記事で、トランプ大統領が主要同盟国に「駐留費用+50」を要求する構想を持っているとし、これは、韓国が来年の防衛費分担金交渉でこのような要求に直面する可能性があることを意味すると報じた。同紙によると、この構想は、トランプ大統領が参謀らとプライベートで話し合う席で示されたという。
韓国が今年負担する在韓米軍防衛費分担金は、昨年より8.2%増えた9億2500万ドルだ。同紙は、この分担金が在韓米軍の総費用の約半分に当たると推算した。総費用の算定方法によって違いはあるものの、これに「駐留費用+50」の公式を適用すると、トランプ政府が来年韓国に要求する金額は今年の3倍の27億7500万ドルまで増える可能性がある。
同紙は分担金をめぐり様々な構想が飛び交っているとして、「駐留費用+50」の公式が同盟国から譲歩を引き出すための戦術である可能性もあると指摘した。米政府高官は「公式的な提案や政策ではなく、『もっと負担すべき』というトランプ大統領の要求に同盟諸国を注目させるために考案された一種の“最大課金オプション”」だと述べた。
同紙はこの公式に疑問を呈する声が上がっていることも報じた。ハーバード大学国際関係学のスティーブン・ウォルト教授は「同盟国がより多くの責任を求めるのは正しいが、彼らに保護の費用を請求するのは誤った方法」だとし、「米軍は外国人用兵ではない」と批判した。ケイトー研究所のエマ・アシュフォード研究員も「経済的に余裕のある同盟国の不均衡的な寄与に対する解決策は、彼らに漸進的により多くの責任を負わせ、米軍の駐留をなくすことであって、米軍をそこに引き続き駐留させ、料金を請求することではない」と指摘した。
同紙は、トランプ大統領がこの計画に署名しても、すべての同盟国に対する包括的な要求として提示されることはないだろうと見通した。同紙は「トランプ大統領の多くの参謀がこの公式に反対しており、(彼らは)過去にトランプ大統領を過激なアプローチから遠ざけることに成功した」と付け加えた。