米国人のマーサ・ハンツリーさんとバーバラ・ピーターソンさんは1980年5月、光州(クァンジュ)で暮らしていた。夫のチャールズ・ハンツリー牧師(韓国名 ホ・チョルソン)とアーノルド・ピーターソン牧師と一緒にいた。当時、光州キリスト病院の院牧室長だったハンツリー牧師は、戒厳軍に追われた市民を匿い、犠牲者・負傷者の写真を米国に送り、5・18の惨状を世界に知らせた。当時、光州で韓米伝導大会を準備していたピーターソン牧師も、現場で目撃した戒厳軍の暴力的鎮圧とヘリコプター射撃を記録に残した。
ハンツリー、ピーターソン両牧師は既に亡くなったが、彼らの妻のマーサさんとバーバラさんは今も1980年光州を記憶する歴史の証言者だ。5・18の惨状を目撃した二人が21日、電子メールで「民主主義は真実に基づかなければならない」という内容の手紙をムン・ヒサン国会議長に送り、5・18の歴史を歪曲し冒とくしたキム・ジンテ、イ・ジョンミョン、キム・スンレ自由韓国党議員3人を懲戒してほしいと要請した。
二人は手紙で「3人の国会議員が除名されるか叱責を受け、韓国国民が国会を再び信じられるようになることを願う」とムン議長に頼んだ。二人は、5・18民主化運動の記録物である『死を越えて時代の闇を越えて』の英文版を翻訳し、現在は米国にいるソル・ガプス氏を通じて5・18に対する歪曲が韓国議会で起きたという消息を聞いたという。二人は39年前に目撃した光州の胸が痛む抗争の歴史が否定されているというニュースに驚き、国会議長に手紙を送ることにした。
彼女らは手紙で「3人の自由韓国党議員は『5・18は600人あまりの北朝鮮特殊工作員が扇動した不法な暴動』というある極右人物の真っ赤な嘘に同調した」とし、「3人の国会議員の話は真っ赤な嘘であり、光州と湖南(全羅道)の市民、ひいてはすべての韓国人を傷つけた」と嘆いた。また、彼女らは「夫であるアーノルド・ピーターソン牧師が撮ったヘリコプター射撃写真と、チャールズ・ハンツリー牧師が撮影した光州キリスト病院に移送された多くの犠牲者の写真は、全斗煥(チョン・ドゥファン)の裁判にも提示された。私たちは、光州で何が起きたのかを知っている」と書いた。
「5・18は暴動」や戒厳軍の殺人鎮圧まで否定する歴史歪曲にも深い憂慮を表わした。二人は「最近、ホロコースト(集団虐殺)自体を否定する人々がいるが、それは数百万人が体験した苦痛と喪失、歴史の真実を消そうとすること」だとし、「5・18を否定する人々が、歴史的真実の前で再び嘘をつかないことを望む」と記した。二人は続けて「光州で起きた不当な暴力のまん中で、これを目撃し助けることができたことに感謝する。私たちは今後も韓国を愛し、私たちが知る真実を証言するだろう」と明らかにした。
二人は昨年、国立5・18民主墓地で開かれた5・18民主化運動38周年記念式にも参加した。当時、マーサさんは舞台で「私が見た光州は、言葉では表現できない残酷そのものだったが、光州市民の人間愛はそれ以上に熱かった」という内容の手紙を朗読した。