2回目の朝米首脳会談を控え、先週平壌(ピョンヤン)で行われた初の朝米実務会談で、北朝鮮側は寧辺(ヨンビョン)核施設査察の見返りに北朝鮮制裁の部分的緩和を要求した一方、米国は終戦宣言を相応の措置として提示したと伝えられた。来週予定されている米国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表とキム・ヒョクチョル北朝鮮国務委員会対米特別代表の2回目の実務会談と、2月末のベトナム・ハノイでの首脳会談で、両者が接点を見出すか注目される。
朝米交渉に詳しい政府消息筋によると、6~8日に平壌で行われた朝米実務交渉で、キム特別代表は寧辺核施設廃棄の意思を再確認しながら、寧辺核施設査察に対する相応の措置として対北朝鮮制裁の部分的緩和を要求した。北側は相応の措置として、米国が部分的でも制裁を緩和すれば「より大きな措置ができる」と明らかにしたと、同消息筋は伝えた。
ビーガン特別代表がテーブルにのせたカードは「終戦宣言」だったという。寧辺核施設の査察完了段階で終戦宣言を交換するということだ。公開席上と同じくビーガン特別代表は「制裁緩和や解除は絶対にできない」という点を明確にした。その代わり、北朝鮮が「寧辺核施設廃棄プラスアルファ」の対処をすれば、制裁緩和も考慮できると提示したという。結局、2回目の朝米首脳会談の核心は、両国が米国の相応の措置をめぐる間隙をどこまで狭められるかにかかっているものとみられる。
北側が具体的にどのような部分を挙げ「一部制裁緩和」を寧辺核施設査察の相応の措置として提示したかは確認されていない。ただ、外交街で取りざたされる開城(ケソン)工業団地・金剛山(クムガンサン)観光再開のための一部制裁緩和・免除や、国連安全保障理事会決議2397号の対北朝鮮原油供給上限制の緩和などを念頭に置いている可能性もある。終戦宣言の場合、依然として北朝鮮に悪くないカードと解釈されるが、北朝鮮側は米国が終戦宣言を制裁緩和の代わりの材料にすることを懸念し、積極的な反応を示していないという。トランプ行政府は「軍事的オプション」が消えた現在、北朝鮮を圧迫する唯一の手段が「対北朝鮮制裁」だという認識が強い上、「何度も北朝鮮にだまされた」という米政界や民間の批判的なアプローチのため、できるだけ制裁には手をつけないという立場であるため、終戦宣言カードを出したとみられる。
複数の政府高官はハンギョレに「『制裁を解くことはできない』という米国の立場は確固たるものだ」と話し、「北朝鮮が終戦宣言だけを受けて寧辺核施設の廃棄に乗り出すことはないだろう」と見通した。そのため、交渉過程で北朝鮮が寧辺核施設の廃棄などに前向きに出てくる場合、米国が開城工業団地、金剛山観光の部分的な再開など、南北協力事業を優先的に検討する可能性もあると見通した。米国が、北朝鮮制裁の枠組みに手を出さずに譲歩できる措置は制限的だという理由からだ。実際、朝鮮半島専門家らの間では、金剛山観光は個別に進められる場合は国連安保理の対北朝鮮決議に触れないため、速やかに再開すべきだという主張が多い。
さらに、寧辺核施設の検証可能な査察自体の重要性も影響を及ぼすものとみえる。一部で寧辺核施設廃棄の価値を低く見ているのとは異なり、韓米当局は北朝鮮の核施設の約70%を占めるという寧辺核施設廃棄の意味を軽く見てはいない。寧辺核施設のプルトニウム、高濃縮ウランの「サンプリング」と豊渓里(プンゲリ)核実験場に対する査察・検証が同時に行われれば、寧辺以外の核プログラムに対する潜在的分析もある程度可能だという。
これに先立ち、ビーガン特別代表は11日(現地時間)、米ワシントンでムン・ヒサン国会議長らと会い、「意見の隔たりを狭めるのは次回協議から始める」とし、「首脳会談まで2週間しか残っておらず、難題をすべて解決するのは難しいが、一定の部分で合意できるのであれば可能性はある」と話したという。寧辺核施設の申告・査察・検証・廃棄の範囲と米国の相応の措置をめぐる両者の駆け引きが本格的に始まった。